連載3-10、日本鳩レース界の歴史
レース鳩の前身 その四
さて前回は、ペルシャ鳩の体形や特徴などについて語っておったのう。
この「ペルシャ鳩」の血統を継承させて「ドラゴン鳩」を作ったのがイギリスじゃ。この鳩は、「ペルシャ鳩」から現代のレース鳩の形態に推移していくまでの、中間の体形だったことはすでに述べた通りじゃ。
さらにイギリスでは、「ドラゴン鳩」の能力上の欠点を除くため、後述する「スノール種」と「ドラゴン鳩」を適宣交配して「ホーマー種」を作りあげたのじゃ。
この鳩は、頸部・体長・脚などが短めで、翼と尾の長さが中庸を得ており、また翼が広く、長さは尾羽の先端まで13ミリで、頭蓋はやや扁平であったというぞ。つまりは、イギリスにおけるレース鳩の原型の完成ともいえるじゃろう。
一方でその頃、ベルギー人も鳩の改良に熱中しておった。「ペルシャ鳩」や「バガデッテン鳩」、「トルコ鳩」などが、初期におけるその材料じゃ。
この他、「オウル種」、「タルビット種」及び「キュミレット種」を材料として、「ベルギー鳩」の作出にも成功しておった。この「ベルギー鳩」を「スノール種」と呼んでいたわけじゃが、「スノール種」には、体質の強さと高空での飛翔を得意とする特性があったという。
また他にも「スミテル種」も作り出されておった。この種は持久力に乏しいが、短距離における高速性を誇っておったそうじゃ。
ベルギー人は、鳩の改良にかけては、極めて天才的と思われるほどの能力を持っており、ペルシャ系、スノール系、スミテル系といった種を巧みに組み合わせ、必要性に応じたものを作出し続けたのじゃ。
なかでも、ベルギーのリエージュ地方やアントワープ地方においては、鳩の改良が盛んで、ついには「リエージョア種」、「アンベルソア種」と呼ばれる、二大系統が完成されたというわけじゃ。
こうして、現在のレース鳩の原型は、ベルギーとイギリスで出来上がった次第となるのじゃよ。
では我が国、日本においては、レース鳩になるまで、どのような系譜を辿ってれてきたのであろうかのう。次回から、我が国においてのレース鳩の由来について、語っていくとするかのう…。
(この稿、続く)