連載2-58、種鳩導入を考える

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このコーナーは、会員の方からの寄稿や過去に掲載された本誌の記事を元に、伝書鳩及び鳩レースの今昔を鳩仙人の語り口で掲載します。本稿は本誌で連載された「レース鳩作出余話」(83年〜87年連載)を引用・改編しています。

実際に、わしらはどのような方法で作出に取り組んで行けば良いのじゃろうか。これは、机上の空論をいくら述べてみても、絵に描いた餅に等しいものじゃ。

作出における第一は、先にも述べたように世界のトップレベルのスピード性を持った種鳩を手に入れることじゃろう。なぜならば、最近の大レースは日本の気象予報技術の向上とそのための諸施設の完備によって、昔とは比較にならないほど、予報精度が高くなっておる。そのため、悪天候でのレース決行という事態が極めてまれになったことじゃ。そうすると、スピードバードを持たない限り、上位入賞は望めないからのう。まずは、適切なスピードバードを探し、その血統を自鳩舎の鳩群に十分取り入れなければならないじゃろう。

良い鳩を作出するには、まず近々の数年間で、日本鳩レース界ではどこの何系統が最も高い勝率を挙げているかを調べ、その系統を使うことが必要じゃ。赤い花を咲かせるためには、なんといっても赤い花の咲く品種を交配しなければならないのと同様に、スピード性の種鳩の導入は大切になると思うのう。

レースで優秀な成績を上げたチャンピオン鳩の血統の吟味が、わしらに正しい答えを示してくれるじゃろう。当日の参加羽数、参加地域、天候、風向、分速、上位入賞鳩の序列間の分速差など、様々な要素も考慮に入れると、なお良いじゃろう。

これは国内でも諸外国の場合でも同様じゃが、一度だけの成績で、その鳩舎の鳩を評価することはできないものじゃ。本当に良い鳩群ならば、必ず好成績を上げ続けているものじゃからのう。

同一鳩が優秀な翔歴を示すのもこれと同じ意味で大切なことで、ナショナルレースの優勝鳩でも、その他のレースで平凡な成績しか残せていないのでは、あまり評価はできぬのう。

理想をいうならば、常勝鳩舎の最良の好成績鳩(大きなレースでのCH鳩)の血筋を種鳩として導入したいものじゃ。この際、遺伝学上の理論からすると、鳥類の場合は雄の方からでなければ遺伝しない染色体があるため、本来は雄の方が大切と言える。しかしながら、実際のところ、ベルギーなどではダブルシステムで飛ばしている鳩舎も多く、雄の良い種鳩は非常に入手困難であると考えるべきじゃ。

とにかく、スピード性はレース鳩の性能として、最も大切な条件じゃから思い切って良いものを探す必要があるじゃろう。もし同一系統の鳩で2つの鳩舎が非常に良い成績を収めているような場合、それぞれの鳩舎の最良の鳩の血統を導入して、それを相互に交配することも考えると良いじゃろう。この理由は後に述べることにするが、これは非常に成功率が高く、好ましい交配方法じゃと思うぞ。

では、この続きは次回の稿で語るとするかのう…。

(この稿、続く)

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