鳩の研究の大学教授、「山階芳麿賞」を受賞

授賞を伝えるプレスリリース
このコーナーでは、レース鳩や当協会に関する、会員の皆様から寄せられた事柄やマスメディアで紹介された事柄など、様々な情報をご提供します。

鳩の研究者として著名な慶応大学名誉教授の渡辺 茂さん。渡辺さんは、「鳩を訓練してピカソとモネの画風を教えると、初見でも見分けられる」といった鳩の識別能力を示した研究で知られ、人々を笑わせ、1995年に風変わりな研究などに授与されるイグ・ノーベル賞を受賞しています。当協会の機関誌に寄稿文の連載をしていたこともあり、ご存知の会員の方も多いことでしょう。

同研究の一端では、「鳩と人は一見同じことをしているが、実際は違う。絵を細かくしてバラバラに並べなおすと、人は誰の絵かわからなくなるが、鳩は区別できる」、「人は総じて全体をまとめて見るが、鳩は小さな特徴を掴んでいる」とし、その違いは脳内の情報処理の差と考えられています。

このような鳥の行動や認知能力を深く解明してきた功績により、昨年7月には公益財団法人 山階鳥類研究所から「山階芳麿賞」を贈られています。同賞はこれまで、鳥の分類や生態、保全といった分野が専門の歴代受賞者となっており、今回の授賞は異色に見えます。同法人は「渡辺氏は動物行動学と比較神経科学において、両塁に関する学際的な研究を精力的かつ継続的に行い、顕著な業績を収めました。(中略)今日、比較認知科学と呼ばれる新分野が確立されましたが、これは渡辺氏の貢献なくしてはあり得なかったといえるでしょう。(中略)近年の鳥類学の研究が、行動生態学と保全研究に集中しているなかで、氏が異なった分野で業績をあげ、鳥類学の領域を広げられたことも、選考委員会では高く評価されました」と授賞理由を公表しています。

渡辺氏は「人の心が唯一の心ではないと思う。人の心は環境に適応して進化した多くの神経系の一つにすぎない。だからこそ、私たちと違う動物の心に迫りたい」といいます。

これからも素晴らしい研究を続け、良い成果を生み出してほしいものですね。

朝日新聞でも紹介されています。

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