11年連続で過酷な海越えレースを帰還
先日、鹿児島県鹿児島市にお住いの植村和弘さんから、当協会へ一通のメールが届きました。植村さんは、沖縄県にある琉球連合会の農水杯600Kレースの委託放鳩を引き受けており、昨年で11年目を迎えたそうです。
沖縄県のレース事情は、気候及び地理的な制限のため、春季レースが12月から4月の間に行われ、海上を飛翔する特殊な条件となります。海上での風は非常に強くなり、陸上で3~5メートルの場合でも海上では10~15メートルに達するそうです。海上では風向きや気圧が目まぐるしく変わり、靄(モヤ)も発生するため、天候が読みづらく、台風の影響も考えなければなりません。そのため、日延べや放鳩待機も余儀なくされ、放鳩時間が数十分違っただけで帰還率や分速が、まるで変ってしまうようです。
さて昨年の同レース(農水杯600K)は、12月5日午前7時25分に鹿児島県鹿児島市喜入総合運動公園から放鳩されたそうで、参加は77羽。前レースとなる奄美大島300K(2回開催)は帰還率が1割、1割5分と、いずれも厳しい結果となり、例年に比べて最終レース参加が半数だったそうです。しかしながら、結果は当日2羽、翌日2羽、3日目1羽、4日目4羽と、9羽の帰還を達成しました。ちなみに、優勝鳩舎は又吉康夫鳩舎だったそうです。
連合会長の新垣良行さんは「気候などの影響で見込み通りに進まないレース運営のなか、放鳩担当の方は、冬の時期のレースのため、待機レーサー達の寒さ対策にストーブを使っていただくなど、管理をしっかりして下さっています。現在、600Kレースでは11年連続で帰還鳩が誕生しています。これは、会員たちの情熱と鳩の血統研究が進んだことは元より、放鳩者の方の力も非常に大きいと、感謝しています」とのこと。
関東地域などの大レースには及びませんが、海上を飛行するという特殊な条件のなか、様々な工夫を凝らしながら、鳩レースに取り組んでいる沖縄のレースマンの皆さん。その情熱を絶やすことなく、これからもより良いレースにチャレンジして欲しいですね。