趣味のピジョンスポーツ 第28回「目指すは、伊賀鳩舎の最終レース翔破!」 小宮山 章鳩舎

鳩をつかむ小宮山 章鳩舎。
今回、ご登場いただくのは、静岡県にお住いの小宮山 章さん(71歳)。鳩との出会いは中学生の頃。折からの鳩ブームで飼育を始めたといいます。就職に伴い、飼育中断した小宮山さんが、次に鳩と出会うのは、40代の半ば頃だったそうです。その後、連合会員、賛助会員と経歴を積み、19年には「伊賀国際ウィナー300K」で第10位に入賞されました。現在、伊賀の最終レースに参加することを目標にしているという同鳩舎。果たして、そのピジョンライフとは…。

「国際委託鳩舎レースは、伊賀鳩舎のみに委託しています。訓練や調教といった手間が省けるので、のんびりと鳩レースを楽しんでいるといますね」。

静岡県御殿場市に住む小宮山 章さん(71歳)は、この10年間ほど、賛助会員として伊賀国際委託鳩舎で委託レース専門に鳩レースを楽しんでいらっしゃいます。なかなか結果が出ないといいますが、19年度には「伊賀国際ウィナー300K」で第10位に入賞。初のベストテン入りを果たしました。

小宮山さんの鳩との出会いは中学2年生の時。東京五輪後の鳩ブームで学校の友人や近所の大人達が鳩を飼っているのを見て、自分も飼いたいと思ったことがきっかけだそうです。

「飼っていたのは、血統書もないただのドバトを56羽。でも外に放せば、ちゃんと帰ってきましたよ。それに感激して、自分にも羽があればいいなあと(笑)」。

それから18歳まで鳩飼育を続けていましたが、高校を卒業後、地元の団体職員として就職したことをきっかけに飼育中断。次に鳩と出会うのは、40代も半ばを過ぎた頃でした。

「子供の頃、飼っていたこともあり、鳩には興味があったので、インターネットなどで情報を見てはいましたが、飼育には至りませんでした。そんなある日、妻が迷い鳩を拾ってきて、保護したんですよ。飼い主に連絡したところ、そちらで引き取って欲しいということでしたので、そのまま飼い始めました。初めて飼ったレース鳩は、ドバトよりも体がひと回り大きく、落ち着いているなという印象。目が綺麗でしたね」。

どうせ飼うなら1羽だけでは可哀そうと考え、知り合いの愛鳩家に連絡して、鳩を譲ってもらい、ペアで飼育開始。こじんまりと飼育するつもりが、いったん飼い始めると鳩への愛が止まりません。譲り受けたトリ、購入したトリ、作出したトリなど、あれよあれよという間に、どんどん飼育羽数が増えていったそうです。

「羽数が増えたことから、本格的に鳩レースに挑戦してみようと思ったんです。たまたま知り合いの協会員の方がレースを中断するという話を聞き、鳩舎から鳩具、時計まで一式を譲ってもらいました。余りにも鳩舎が大きいので、4トン車で運びましたね(笑)」。

こうして、50歳を前に地元の駿河北部連合会に入会。晴れてレースマンとしてのスタートを切りました。

「最初は、帰還率が良い短距離レースが好きでした。鳩レースを経験して感じたことは、出舎口にすんなり入るのもいれば、屋根に止まったままのもいて、鳩にもいろいろな性格やタイプがあるんだなということでしたね。300Kレースで分速1500メートルを超えて、初めて連合会優勝した時は感動しました」。

それからというもの、日々、調教や訓練、作出といった鳩レースの勉強を重ねていき、ついには長距離レースの桜花賞900K総合優勝を獲得するに至ります。

「桜花賞総合優勝の時は、長距離を帰すこと自体、初めてだったんです。私の場合、配合は同系統を組み合わせて、そこに異血を組み合わせるのが基本。体格が大きい長手のトリを作るように心がけています。管理はナチュラルで、あまり薬漬けにしないように。それが功を奏したのかも(笑)」。

この当時から、国際委託鳩舎レースにも参加。協会には2つの委託鳩舎がありますが、伊賀鳩舎のみに参加していたといます。

「自鳩舎レースとは違う帰還コースで、作出した鳩の性能検定をしてみたかったんです。結果は全然(笑)。一度だけ、300Kレースで1か月ほど経ってから後日帰還したことがあり、その鳩は種鳩にしました。いまでも使っていますよ」。

自鳩舎レースと委託レース。2つの道で鳩レースを楽しんでいた小宮山さんでしたが、5年ほど前、仕事の形態が変わり、夜勤が増えたため、鳩の世話に支障をきたすようになりました。レース時の持ち寄りも行けない状態となり、やむなく自鳩舎でのレースを断念。しかしながら、鳩レースへの情熱が消えることはなく「委託レースだけならば持続可能」と考え、すぐさま賛助会員へと移行。17年度レースからは、賛助会員として国際委託鳩舎レースのみで、鳩レースを楽しむこととなります。

「賛助会員となっても、委託は伊賀鳩舎のみ。連合会員時代の経験から、レースを帰還させるのが難しい分、かえって面白いのかなと(笑)。自分の好みは粘りのある鳩。厳しい帰還コースを帰ってくる鳩の方が好きということでしょうね」。

そして賛助会員となって3年目の19年度レース。ようやく「伊賀国際ウィナー300K」において第10位に入賞。念願のベストテン入りを果たします。

「伊賀スタッフの方から電話をいただいて入賞を知りました。その時は『ようやく300Kの壁を破れたか』と感動しましたが、次の400Kレースで落ちちゃった(笑)。まだまだですね」。

現在は、伊賀鳩舎の最終レース翔破を目指しているという小宮山さん。最後に鳩レースの面白さを聞くと…。

「鳩レースの楽しみは、自分が作った鳩が何百キロも飛んで帰ってくることにつきます。でも今後は、住環境的にも年齢的にも自鳩舎でレースを行うのは難しい方も増えるでしょう。委託レースなら、鳩の世話をする面倒も少なく、自分の鳩がレースで帰ってくるドキドキ感を楽しめますからね。いうなれば、自分の子供を預けているような感覚。今後も、できる限り長く、鳩レースを楽しんでいきたいですね」。

連合会レース、国際委託鳩舎レースと、人生の後半を鳩レースにかける小宮山さん。これからも、楽しいピジョンライフを送っていかれることでしょう。

初めての300K後日帰還のトリは、今でも種鳩。
小宮山鳩舎の全景

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