連載2-51、作出について その二

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このコーナーは、会員の方からの寄稿や過去に掲載された本誌の記事を元に、伝書鳩及び鳩レースの今昔を鳩仙人の語り口で掲載します。本稿は本誌で連載された「レース鳩作出余話」(83年〜87年連載)を引用・改編しています。

さて前回は、自鳩舎に新しい血統を導入する際には、地域の上位入賞鳩舎を調べて、考えていけば良いということを述べたのう。
その続きじゃが、その最も安全確実な道は、自鳩舎の地域で常に優秀な成績を挙げている鳩舎からの種鳩の導入じゃ。またこの場合も、その鳩舎がどのような基礎鳩によって作り上げられたかという点、さらにその基礎鳩はどのような特徴を持った鳩であったかという点、これを十分に調査して、果たしてその血統を導入することにより、自鳩舎の鳩群にどういう特性を与えることができるかという面まで吟味し、予測して導入に踏み切るべきではないかのう。
わが国では、愛鳩家は雑誌などを通じて、簡単に様々なレースでの優入賞鳩の血統を知ることができるし、また管理方法も知ることができるのう。この点において研究するのは非常に楽であり、やってみると誠に面白いものじゃ。また自身の勉強にもなるから
のう。
次に考えられる異血導入の道は、ヨーロッパ諸国で素晴らしい成果を挙げた有名鳩舎からの血統を入手することじゃ。
幸いにして現在、我が国の鳩レース界にはベルギー、オランダといった様々なヨーロッパ諸国の大レースで優入賞したチャンピオン鳩が高額の取引を経て、各地で種鳩として導入されておる。それらの子孫であるならば比較的、安価で入手可能であろう。
自鳩舎の地域において、全く飛翔記録のない系統の種鳩を導入する場合、もちろん地域の飛翔コースにその系統の特徴が適しているかという点は未知数じゃ。ただし、自地域の常勝鳩舎が手にしていない系統を導入することによって、その鳩舎を追い抜く威力を自鳩舎にもたらすかもしれないという違った楽しみも潜んでおる。鳩レースの楽しみや面白さは、常勝鳩舎であるベテラン勢に「あっ!」と言わせることだとすれば、ぜひチャレンジしてみたいのう。
もちろん、この場合も導入する鳩舎の勝率やその系統の活躍を調べることが必要じゃが、別の見方もあるぞ。それは種鳩を導入しようとする鳩舎の鳩が、その国でどのように評価されているかということじゃ。例えば、ベルギーのオークションで、その鳩舎の鳩の平均落札価格を調べてみることなどで、その系統の種鳩としての価値がわかることになるのう。
また見落としてならない点は、その系統が他鳩舎でも成績を上げておるかじゃ。これは優秀な異血を知る貴重な情報として覚えておくべきことじゃ。
では次回、レース鳩の体形と性能について、おさらいするとするかのう…。
(この稿、続く)

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