各地区連盟の様々な取り組みその2

このコーナーでは、レース鳩や当協会に関する、会員の皆様から寄せられた事柄やマスメディアで紹介された事柄など、様々な情報をご提供します。

昨今、各地区連盟では様々な取り組みによって、会員間のコミュニケーションを図り、各団体の活性化を図っています。3月号の本コーナーでは平静千葉連盟の取り組みをご紹介しましたが、今回は四国連盟。同連盟では、人工衛星を利用した測位システム、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)を活用し、そのデータを生かして放鳩地点などの検討を行っていかれるそうです。同連盟の吉積幸二さん(徳島連合会)より、「鳩レースの今昔」と題して寄稿文が寄せられましたので、その一部をここに紹介いたします。


鳩レースの今昔― アナログからデジタルに ―
これまでに(鳩レースにおいて)最も大きな変化をもたらしたのは、なんといっても自動記録機の登場と思います。四国連盟における自動記録機の採用は2004年秋からですが(中略)、さらに最近、超軽量の電池の開発が進み、GPSによって、レースでの飛翔軌跡が解るようになってきました。
これまで帰還コースについては、放鳩地をあちこちと試行錯誤し、その時の気象状況などを参考に帰還率を比較検討しながら決めてきましたが、あくまでも推測であったと思います。令和元年秋、朝栄良典氏提供のGPSデータにより、長年疑問であった本州(大阪府吹田、滋賀県守山、愛知県小牧)から四国徳島への帰還コースについて、実態を把握することができました。(図1、2、3)北西風(年間70%)が強くなると、吹田(図1)からでも、神戸、明石、岩屋の最短コース(図2)を取ることなく、大阪湾、紀伊水道の海渡りコースとなり、帰還率は大きく下がりました。更に小牧(図3)からでは、当日帰り2羽にはGPSリングを装着していないため帰還コースは解りませんが、翌日帰りは一旦伊勢湾を鳥羽まで下り、その後に紀伊半島を越えるような過酷なコースをとっており、これを含めて記録3羽の厳しいレースとなりました。帰還率については、昨今の猛禽類の生態変化、携帯電話等の普及、地球温暖化による気象変化などがその低下の原因となっており、反対に、高速道路等道路網が充実してきたことは好影響をもたらしていると思われます。
これらの状況を踏まえ、GPSを活用し、従来の琵琶湖東コースに固執することなく新たなコースを検討していきたいと考えています。(中略)今後、ますますGPSの改良が進み、パソコンやスマホで帰還状況のライブ中継が行えるようになり、パソコンなどに堪能な世代の青少年が多く鳩仲間になってくれることを期待しています。


このような新しい取り組みが、これからの連盟の発展に役立つことでしょう。(資料提供/吉積幸二氏・徳島連合会)

図1=大阪府吹田からのデータ 図2=滋賀県守山からのデータ 図3=愛知県小牧からのデータ

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