連載2-46、世界の鳩界事情 その十九

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このコーナーは、会員の方からの寄稿や過去に掲載された本誌の記事を元に、伝書鳩及び鳩レースの今昔を鳩仙人の語り口で掲載します。本稿は本誌で連載された「レース鳩作出余話」(83年〜87年連載)を引用・改編しています。

●スピード性の添加

悪天候の克服性が強いアメリカのレース鳩の系統は、イギリスのレース鳩に基礎を置く系統が多いのじゃが、どうしてもスピード性に乏しいという欠点を否定することはできぬのう。
第一次世界大戦後のアメリカ経済の発展は、鳩レースの世界においてもベルギーやフランスなどの優秀鳩舎のレース鳩がイギリスへ流れる傾向からアメリカへと振り向かす結果となったのじゃ。当時の欧州の第一線級の鳩舎のチャンピオン鳩は、時として全鳩舎という大掛かりな輸入という形をとったため、時としてその鳩舎の第一線級の鳩の大多数が流入するという形で大西洋を越えての大量の導入が図られたものじゃった。
その代表的なものはグルーター鳩舎、グルネー鳩舎、ヒュスケン・バンリール鳩舎であり、個々の鳩としては、シオン系、スタッサール・ブリクーなどが挙げられよう。
また、第二次世界大戦後には、当時のベルギー鳩界で長距離レースのナンバーワン鳩舎と称されておったハベニス鳩舎の全鳩がアメリカに渡っておる。
当時、有名なアメリカのコレクターの一人であったカーチス氏のロフトマネージャーをしておったビユッタ氏はカーチス氏の鳩舎の仕事を辞めた後、自身の鳩舎を立派に作り上げた。
そのグルネー系を主流とする系統は、当時の東部アメリカ鳩界での主だった鳩舎に優秀な種鳩を提供したが、これらのビユッタ系の鳩などによって、アメリカの長距離鳩はずいぶんとスピード性を増したということができるのう。

●ビユッタ系の導入

有名なボストンのモーリス・ゴードン系も、最初はイギリスのオスマン氏の鳩舎からの4羽の種鳩の導入であった。その中でも1羽の小形のメスが非常に優秀で立派なチャンピオン鳩を作ったが、やはり他のイギリス系の鳩の飼育者同様、一つの行き詰まりに達したため、新たにビユッタ系を取り入れて立派な鳩舎を作り上げたといわれておる。
その他、当時のニューイングランドの愛鳩家たちの長距離鳩もこのビユッタ系によって優れたスピード性を付与された系統が多いのじゃ。
また、日本の岩田系の鳩もオペル系、Nバーカー系などの基礎の上にビユッタ系からなるアカルディ氏の鳩を交配し、シオン、スタッサール、あるいはベルギーのファンネ氏を経て、ファンデスエスプトの鳩などの交配とあいまって、現在の岩田系が誕生したわけじゃ…。
では次回も、アメリカ鳩界について語るとするかのう…。
(この項続く)

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