連載2-45、世界の鳩界事情 その十八

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このコーナーは、会員の方からの寄稿や過去に掲載された本誌の記事を元に、伝書鳩及び鳩レースの今昔を鳩仙人の語り口で掲載します。本稿は本誌で連載された「レース鳩作出余話」(83年〜87年連載)を引用・改編しています。

●日本の長距離レース

今回は少し横道にそれて、日本の長距離レースについて、語るとするかのう。
戦後の日本では、中国大陸の気象情報は全く入手できない状況じゃった。そのため、天気予報は全くあてにならず、放鳩者もコース上の天候も十分に把握できなかったのじゃ。特に、わしも所属しておった裏日本コースという気象条件が難しい長距離レースを実施してきた関西方面のレースマンは、まずは雨でも帰舎できる性能のレース鳩を優先的に欲しがったものじゃ。
日本の春レースシーズンは、6月の梅雨のために3月半ばから4月、5月という短期で開催されており、その中にあっても必ずといって良いほど悪天候にぶつかるレースあるわしらにとっては、レース鳩の悪天候の克服性能は、現在でも無視するわけにはいかぬのう。
これは余談になるが、以前にわしらはなんとか良い天候の日程で、北海道からの最長距離レースを成功に導きたいと考え、札幌市の知人にご協力いただいて札幌気象台の集計資料を基にしたことがあるのじゃ。
それによって、5月10日を中心とした北海道からのレース実施が、最良の天候に恵まれる公算が大きいことを知ることになった訳じゃ。現在、全国的にこの5月10日を中心としたレース日程を組むようになり、悪天候に対する愛鳩家たちの心配は軽減されたが、わしは日本で長距離レースに参加する以上は、どうしてもこの性能(悪天候の克服性)は備えておく必要があると痛感しておった。
前回の稿で記述したマッコイ氏らによって継承されたオペル系統ではなく、アメリカ東部の愛鳩家によってイギリスのレース鳩を基礎として継代された長距離系の鳩は皆、悪天候に対する順応性は備えるようになっているが、同時にスピード性には乏しいという欠点も目立つようになっておった。そのことも関係してか、ヨーロッパ、特にベルギーでは年々、スピード性を有するレース鳩が出現してきた訳じゃ。
では次回、アメリカ鳩界のレース鳩の特性について語るとするかのう…。
(この項続く)

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