連載2-14、交配について その二

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このコーナーは、会員の方からの寄稿や過去に掲載された本誌の記事を元に、伝書鳩及び鳩レースの今昔を鳩仙人の語り口で掲載します。本稿は本誌で連載された「レース鳩作出余話」(83年〜87年連載)を引用・改編しています。

今回は、イギリスの大競翔家・オスマン氏の初心者に対する提言の意味の続きじゃ。前回、「そのレース地域で最も成功している2鳩舎を選び、それぞれの鳩舎から遅生れの仔鳩(年内に主翼羽を全て換羽できない7、8月頃に孵化したヒナ)を数羽ずつ譲り受け、翌春、それぞれの鳩舎の雌雄を交互に交配し、その作出鳩でレースに参加しなさい」との言葉の意味を3つ述べたが、4つ目に注目することは、遅生れの鳩を譲り受けるように言っている点じゃ。欧州では遅生れの仔は、翌春のレースに間に合わないため、強豪鳩舎としては譲りやすく、たとえ遅くともその配合から作出したいと考えたヒナであり、その鳩舎の選り抜きの交配である可能性が高い。日本の愛鳩家はこの点をあまり重視していないが、欧州の一流の鳩舎はこの点を充分に配慮しているし、良い仔鳩を入手できるチャンスであることは確かじゃ。

これで種鳩の交配はできるので、次にそれぞれの交配において、これまで述べてきた「後代検定」を行うこととなる。この際、交配の当初からきめ細やかな観察と記録が大切じゃ。

鳩レースでは一つの結果が現れた時に、その原因を確かめることが必要じゃ。それは単一ではなく、様々な要因が重なって一つの結果が現れるため、観察の記録を書き留めておくことが重要となるのう。

オスマン氏の提言は、初心者にとって最も成功しやすい方策であるが、鳩というものはなかなかわしらの思惑通りにはいかぬ。以前にも述べた相性の問題や譲り受けた鳩の遺伝能力の良い悪いもあり、簡単には成功せぬこともある。これを回避するには、種鳩を譲り受けた強豪鳩舎の飼育方法や飛ばし方について充分に指導を受けられるよう、丁寧に教えを乞うことも大切じゃ。また、以前に述べた「後代検定」ではかなり過酷なテストを提言したが、あれは経験者を前提としておるため、初心者の方々にはもう少し鳩を慎重に取り扱うようにお願いしたいのう。若鳩は人間でいえば、小学生程度の発育過程にあるとみるべきで、ゆっくりとその発育の完成を待つ必要があるのじゃ。

ちぐはぐなことを述べているようじゃが、若鳩はまだ子供であるということを理解しておいてほしいのじゃ。欧州の強豪鳩舎では、期待しているトリにおいては若鳩のみならず1才鳩も、極めて短い距離のレースにしか参加させない例が多々ある。これは非常に大事なので、ぜひ頭に留め置いて頂きたいものじゃ。

 では、オスマン氏の提言を実行しても、上手くいかなかった場合、どうすれば良いかじゃ。この時は種鳩を譲り受けた鳩舎の選択が不充分であったか、鳩の相性が良くなかった訳じゃから、再度の検討が必要じゃ。さらに言えば、種鳩を譲り受けた強豪鳩舎で好成績を上げた鳩について調べた上で、自分の失敗も事細かに報告し、その強豪鳩舎に良い種鳩の選定をしてもらうのも一つの手じゃのう。相手方に好意を持ってもらい、選んでもらえれば今度はきっと良い種鳩が手に入るはずじゃ。

これは、なかなかデリケートな問題じゃが、昔の愛鳩家も同じような苦労をしておるぞ。有名なローガン氏は良い種鳩を入手するため、2頭立ての馬車を提供しようと申し出たそうじゃし、ドクター・アンダーソンはシオン系の鳩を入手するために、ポール・シオン氏が興味を持っていた闘鶏をイギリスからお土産として持参したそうじゃ。要は、真に良い種鳩を入手することは、かくも難しいということじゃ。

 では次回も、この話の続きを語るとするかのう…。

(この稿続く)

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