レース鳩と芸術のコラボ
当協会・なんば連合会所属の「ヒスロム」。こちらは、大阪府在住の若手3人組によるアートグループで、グループのアトリエの家主である任 秀夫さん(なんば連合会)から鳩レースの世界を紹介されたことをきっかけに、〈芸術と鳩〉をテーマとした様々なイベントを企画・実践しています。
今回、その活動が認められ「おおさか創造千島財団」より助成を受けて、3月24日から1週間の間、大阪府大阪市にある浄土宗應典院で「人と伝書鳩展」が開催されました。このイベントでは、「ヒスロム」の3人が、各地の愛鳩家を訪れ、各人と鳩との関わり、鳩小屋の建築様式、その土地の風景との関わりといった、1年間に渡る研究成果を展示されたそうです。すなわち、人(愛鳩家)と鳩、土地(風景)と鳩舎の関係を探る試みですね。
「ヒスロムの活動の一環で東北地方を訪れた際、その土地の愛鳩家の方をご紹介いただき、これまでどのようにレース鳩と関わってこられたかを聞き取りました。様々なお話を伺い、各鳩小屋も研究させて頂きましたが、それぞれの土地によって、鳩舎の様式も違いますし、皆さんのレース鳩との関わり方も違います。それを今回、写真とレポートにまとめて発表しています。青森中央連合会の工藤 昇連合会長や五所川原連合会の鈴木眞己さん、連盟長の古川 正さんにご協力いただきました。また昨年11月にはポーランドへ行き、任さんの鳩友・安田勝美さんのご紹介で、同国のバルセロナN主催団体の会長でもあるレプク兄弟鳩舎(同鳩舎の1羽が10年-13年のバルセロナN1484Kにおいて、4年連続飛翔という記録を持つ。13年には同Nで優勝)も訪問させて頂きましたよ」(ヒスロム)
開催期間中は、関連イベントとして1,「放鳩とトーク・任 秀夫×ヒスロム」(3/25)、2,「鳩ピクニック・親子で一緒に鳩を飛ばしに行こう」(3/26)、3,「早朝鳩小屋訪問・飛んでいる鳩を眺める」(3/31)も行われました。1では、任さんの人生を振り返りながらレース鳩との関わりや時代と共に変遷するレース鳩の役割が対談形式で語られています。2は「ヒスロム」の定期的なイベント。親子でお弁当を持ち、レース鳩を放鳩地まで連れて行き、放して鳩舎へ帰ってくるところを見るという、レース鳩の訓練をピクニック形式で楽しんでいます。3は、早朝に行われるレース鳩の調教である舎外で旋回する鳩の音を皆で聞きながら鳩の姿を眺めるという催しです。
「放鳩とトークは、レース鳩と時代の関わりの勉強会といった感じで、15名ほどが参加してくれました。鳩ピクニックでは、1人1羽の鳩を連れて行き、子供たちが自分で持って行った鳩がわかるように、それぞれ足にテープを巻きました。自分が放した鳩が帰ってきたのがわかると皆、歓声を上げていましたね」(ヒスロム)
さて、ワークショップ(体験型講座)による“レース鳩と芸術”のコラボレーションを行っている「ヒスロム」ですが、今後の活動を伺うと…。
「今回、各地の愛鳩家の元を回って研究した成果をまとめましたが、発表したこと以外にもたくさんのことを学びました。今後は、各地域における鳩舎毎にまとめた本を作ってみたいと考えています。あと、アート活動が忙しくて肝心の鳩レースを休止している状態なので、来年はレースに参加して、もっと鳩のことを勉強したいですね」
彼らなりの視点による、レース鳩をアート化した活動は、一般の皆さんへの良い鳩レース界のPR活動となることでしょう。
ヒスロム
加藤至、星野文紀、吉田祐からなるアーティストグループ。造成地の探険で得た人やモノとの遭遇体験や違和感を表現の根幹に置き、身体を用いて土地を体験的に知るための遊び「フィールドプレイ」を各地で実践し映像や写真、パフォーマンス作品としてあらわす。2015年から任秀夫氏と共に「任・ヒスロム鳩舎」として日本鳩レース協会に入会。レース鳩に関するワークショップや展示などもおこなっている。