趣味のピジョンスポーツ 第18回「鳩作りは芸術、夢は大レースでの優勝」 丹羽 進鳩舎

写真右が丹羽 進さん、左は兄の武さん。
今回、ご登場いただくのは、群馬県で鳩飼育を楽しむ丹羽 進さん(65歳)。高校生の時、当協会の連合会員となり、その後は賛助会員へ。鳩歴58年・レース歴50年のベテラン鳩舎です。2016年に初めて国際委託鳩舎レースに参加。この4年間で、18年に『八郷国際ダービー400K』優勝鳩、20年に同レース第9位の入賞鳩を作出されています。鳩友や家族の協力してもらい、毎年30羽程度を国際委託鳩舎に委託しているといいますが、果たして、そのピジョンライフとは…。

「鳩飼育の一番の魅力は、やはり作出に尽きると思います。こだわりは体型。スピード型を目指しており、ボスチンの『チコ』(76年アルジェントンN優勝、77年ブリーブN優勝)のような体型が理想ですね」。

こう語るのは、群馬県にお住いの丹羽 進さん(65歳)。3年前から賛助会員として、国際委託鳩舎で鳩レースを楽しんでいらっしゃいます。

鳩を飼い始めたのは、小学3年生の頃。折からの鳩ブームで学校の友達が鳩を飼育しているのを見てうらやましく思い、当時、高校生だった兄の武さんにねだったことがきっかけだったといいます。

「兄が友人から鳩をもらってきてくれたんですよ。最初は、全く鳩を掴めない上に、舎外をしても鳩小屋に入ってくれなくて、苦労しました(笑)。この頃には、作出というか繁殖も始めていましたね」(丹羽さん)。

その後、高校生になった丹羽さんは、地元にある当協会の桐生連合会へ入会。鳩レースデビューを飾ります。初レースは、入会したての高校1年生の秋レース。200K20羽を持ち寄ったといいます。

「あの頃は学生の会員も多くて、学校の友人や先輩も同じ連合会にいました。私はまだ時計を持っていなかったので、タイムを記録するために、鳩の脚のゴム輪を外して、仲間の家へバイクを飛ばして持っていきましたよ。あの頃は、それだけでワクワクしたなぁ」。

この頃、丹羽さんにとって一人目の鳩の師匠に出会います。それは、同じ連合会に所属していた10歳ほど年上の先輩、武井喜一郎さん。武井さんは東日本稚内グランドナショナル1000Kレースで総合4位を獲得したこともある強豪です。

「当時は毎週日曜日に武井さんの家へ遊びに行っては、鳩談議を繰り返していました。当初は『昼飯を食わせてもらえる』程度の感覚でしたけど、だんだん話にのめりこんでいってね(笑)。この時、餌のやり方や配合の方法といった鳩飼育のイロハを学びました」。

そのかいもあってか、高校3年生のときには憧れだった長距離レース、東日本稚内GNレースで初めての帰還を果たします。

「レースの翌日、鳩舎に入ると、レーサーがいたんですよ。まさか1000Kを帰すことができるとは思っていなかったので、嬉しかったですね。この時の感動は忘れられません」。

高校を卒業後、飲食店へ就職した丹羽さんは、仕事が忙しいため、鳩飼育を中断。しかし根っからの鳩好きとなっていた彼は日々、鳩への気持ちが高じていきます。そして、なんと2年後、遊戯器具を製造する会社へ転職してしまいます。理由は「鳩レースがやりたい」、ただそれだけ。

こうして再び鳩レースの世界へ戻った丹羽さんは、「仕事以外は全て鳩の世話」というほど、鳩飼育にのめりこんでいきます。一昨年に連合会を退会するまでにRg・地区N各総合優勝、GP連盟優勝など、短距離から長距離まで好成績をたくさん残しました。

「この頃は、本当に鳩に夢中でしたね。特に配合や作出。私は『オスの竜骨が高ければ、メスは竜骨が低いものを選ぶ』など、相反するタイプをペアにします。また、塩土を赤土から手作りするなどといった、鳩に与える食物やサプリメントのこだわりもこの頃から。当時の師匠は、トレスコー系を導入したことで知り合った遠坂修一さん(群馬中央)でした」。

さて、丹羽さんが初めて国際委託鳩舎レースへ参加したのは、連合会時代の2016年。八郷鳩舎へ20羽を委託されたそうです。

「連合会対抗レースは参加したことがありましたが、個人としてはこの時が初めて。委託料が下がっていたので、ちょっと挑戦してみようかなと思って。上位入賞こそできませんでしたが、500Kまでは帰還しました。この頃はちょうど60歳を迎え、持ち寄りや審査といった鳩レースに欠かせない作業が、年齢的にだんだんと億劫になっていたんです。委託レースがあるなら、鳩も飼い続けられるし、それでいいかなと(笑)」。

こうして18年に、連合会員から賛助会員へと移籍。八郷国際委託鳩舎での委託レースを専門に行うようになります。ただ、そこには一つの問題が。丹羽さんの種鳩鳩舎は8100羽で、作出数は50羽ほどを数えます。近年、八郷鳩舎は羽数制限がかかるようになったため、多くの選手鳩を預けることができません。そこで、兄の武さんや鳩友に協力してもらい、毎年約30羽を委託できるようにしたといいます。

さて丹羽さんが、賛助会員として初めて挑んだ18年度レースで、いきなり結果が出ます。丹羽さんの作出鳩(鳩友が委託)が「八郷国際ウィナー300K」で第2位と、初めてベストテン入賞を果たしたかと思えば、次戦「八郷国際ダービー400K」で優勝を獲得したのです。

「優勝はスマートフォンのレース速報で知りました。賛助会員としての初めてのシーズンでの初優勝ですから、それは嬉しかったですよ。これまでの自鳩舎のレースでは、鳩が帰還してから審査を経て、初めて順位がわかりますが、国際委託鳩舎レースは、リアルタイムでわかりますから。そりゃあ、感動が違いますよ(笑)」。

同じく、昨年の「八郷国際ダービー400K」でも第9位に入賞した丹羽さん。賛助会員として、順調に国際委託鳩舎レースを楽しんでいらっしゃるようです。そんな彼に、鳩レースの魅力を伺うと…。

「私にとって、鳩レース=鳩作りだと思います。素晴らしいレーサーを生み出すことができた時は、本当に感動します。まさに芸術ですね。今は工夫すれば、海外のレースへ自分の鳩を委託することもできます。今の夢は、欧州の大レースで勝てるようなレーサーを生み出すことですね」。

還暦を迎えた後も、大きな夢を抱えて鳩を飼育する丹羽さん。いつかその夢が叶うと良いですね!

自宅の鳩舎

前へ

連合会便り 新潟第一連合会(新潟中央地区連盟)

次へ

「2021年度 伊賀オリエンタルカップ600K」開催!