趣味のピジョンスポーツ 第14回「目標は最長レースの帰還、鳩に魅入られた生活」 佐藤俊道鳩舎

写真左より孫の綾人くん、福人くん、佐藤俊道さん、鳩友の菅野喜一さん。
今回、ご登場いただくのは、福島県にお住いの佐藤俊道鳩舎(70歳)。15年に『八郷オリエンタルカップ700K』で第5位、16年は『八郷国際ダービー400K』で第10位、そして今年、『伊賀国際サクセス200K』で第3位に入賞されています。元々、連合会員として鳩レースを行っていたものの、飼育を断念。その後、賛助会員として鳩飼育を再開し、レースを楽しんでいます。果たして、そのピジョンライフとは…。

「鳩を最初に飼ったのは、中学1年生の時。今も昔も、ただ鳩が飛んでいるのを見ているだけで、幸せな気持ちになれますね」。

こう話すのは、福島県内のお寺でご住職を務める佐藤俊道さん(70歳)。子供の頃、鳩を飼い始めたきっかけは、団塊の世代なら、皆が経験した空前の鳩ブームでした。

「当時はクラスの男子の9割が鳩を飼っていました。羽色や系統など、学校での話題も鳩のことばかり。羽色は白と栗、系統は勢山系や今西系といった在来系が人気でしたね。友達から譲り受けたり、小鳥屋さんで購入するなどして50羽ほどを飼っていました。レースはしていなかったけれど、舎外や自転車で10キロほどの距離から鳩を放して遊んでいました。楽しかった思い出しかないですね。ショックだったのは、イタチに半分の羽数がやられちゃったことかなぁ…」。

そんな佐藤さんですが、受験を控えた高校2年生の時に、鳩飼育を中断。東京の大学へ進学し、卒業後は地元で公務員として働き始める傍ら、実家のお寺も引き継ぎます。

再び鳩飼育を開始したのは33歳の時。子供が小学生になり、情操教育の一環として動物を飼おうと決め、選んだのはレース鳩でした。約10数年ぶりとなる鳩飼育。わからない事ばかりでしたが、近くに住む友人や仕事場の同僚が、鳩レースを行っていたこともあり、鳩の導入から給餌まで、一から教えを請いながらの再スタートとなります。ところが、肝心の子供は鳩に対して一向に興味を示しません。佐藤さんが全ての世話を担っている内に、どんどん鳩飼育にのめり込みます。

そして1年後、ついに地元の連合会へ入会。本格的に鳩レースの世界へ飛び込みました。それから5年間、連合会員として鳩レースを行い、最盛期には100羽ほどを作出するまで鳩舎規模も大きくなりましたが、40代を前にして突然、飼育を中断してしまいます。果たして、その理由とは…。

「私の自宅は山間部にあるんですが、とにかく猛禽類の被害がひどすぎた。なにせ、春に70羽のヒナを引いても、9月には15羽しか残らないような状況でしたから。連合会レースでは入賞したこともありましたが、とても連盟レースまでは残りません。酷い時は秋レースの参加すらままならない状況。それで、仕方なく諦めたんですよ」。

それから20年間近く、鳩とは無縁の生活を送っていた佐藤さんですが、58歳の時、ふっとしたことをきっかけに、鳩飼育を再開するようになります。

「鳩飼育をやめた後も、鳩レースシーズンになると、関東地域のレースだと思いますが、鳩が空を飛んでいるのを見かけるたび、『いいなあ』とうらやましく思っていました。そんなある日、委託レースという方法があることを耳にしたんです。そこでインターネットで詳細を調べてみて、これなら自分にもレースができるんじゃないかと思って」。

08年に賛助会員として、当協会へ再入会。八郷と伊賀の国際委託鳩舎へ委託することで、鳩レースを再開します。11年度レースでは、3月5日に行われた『八郷国際ダービー400K』で第12位と、初めての上位入賞を果たしました。しかし、その6日後、あの東日本大震災が佐藤さんの地元を襲います。

「うちは福島の原子力発電所から50キロほどの位置ですが、ギリギリ避難範囲ではなかったんです。とはいえ、舎外などを行うのは、やはり躊躇しました。幸い被害は少なく、山間部なのでご近所も離れていたことで、鳩飼育を続けることができました」。

その後、15年度には『八郷オリエンタルカップ700K』第5位と、初のベストテン入りを果たし、翌16年には『八郷国際ダービー400K』第10位に入賞。

「初のベストテン入りは、友人である須田明雄さん(第9回『賛助でエンジョイ!』で紹介)から電話を頂き、知りました。連合会員時代も含め、これまで500K以上を帰還させたことが無かったので、本当に嬉しかったですね。ただ、『八郷国際CH900K』では、落ちちゃいましたけど(笑)。『種鳩にすれば良かったのに』とも言われましたが、レースで残っている内は、最後まで参加というのが自分のポリシー。後悔はしていません!」。

このように、こだわりを持って委託レースを行っている佐藤さんですが、現在は国際委託鳩舎レースと地元の友人である菅野喜一さん(福島北部)に鳩を預けて飛ばして貰いながら、鳩レースを楽しんでいます。最後に鳩の魅力を尋ねると…。

「世の中にはたくさんのペットがいますが、屋外に放しても自分の家まで帰って来るのは鳩しかいない。本当に魅力的ですよ。全国の愛鳩家の皆さんも、同じ思いを共有していると思います。年を取って体力的に年々、鳩飼育が厳しくなってきていますが、鳩の魅力に取りつかれた者同士、これからもお互い頑張っていきましょう!」。

佐藤さんの夢は、これまで一度も帰還させたことがない900K以上の長距離レース、すなわち八郷国際CHレースでの帰還。猛禽類の被害にも負けず、鳩レースを続けたそのバイタリティで、その夢も必ず近いうちに叶うことでしょう。

佐藤さんの鳩舎

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