趣味のピジョンスポーツ 第4回「パートナーの協力で、委託レースを楽しむ!」小泉和行鳩舎

昨今、住環境の問題や鳩レース愛好家の高齢化の影響もあり、自ら鳩レースができず、賛助会員として作ったレース鳩のヒナを預けて、当協会の国際委託鳩舎で手軽に鳩レースを楽しむ方々が増えています。本コーナーでは、委託レースでピジョンライフをエンジョイしている、当協会の賛助会員の方々を、随時ご紹介していきます。 今回ご紹介する賛助会員の方は、千葉県松戸市にお住いの小泉和行さん(58歳)。昨秋の八郷国際委託鳩舎「オータムカップ200K」で、見事に優勝を獲得されました。約6年前、会社員である小泉さんは、転勤でレース中断を余儀なくされます。ピジョンライフを諦めなければならない大ピンチに力を貸してくれたのは、鳩友と国際委託鳩舎でした…。

「昨秋から協会の近くで仕事があったため、しばらく上野に通っていたんです。協会屋上にある鳩舎を見ながら、どんな構造になっているのかな、と興味を持っていました。実際に見ると、清掃が行き届いており、すごくきれいですね。良い種鳩ができるはずですよ」。

当協会の上野国際鳩舎を訪問した小泉和行さんは、笑顔でこう感想を述べました。小泉さんは、大手総合電機メーカーの関連会社に勤務しており、昇降機の設計・施工事業を担当。協会近くにある中学校の改築工事の仕事で、しばらく上野まで通っていたそうです。

協会訪問の当日、たまたま『2016年度 八郷国際親善鳩レース大会500K』のベストスリー鳩の撮影があり、ちょうど良い機会なので、買い上げられて協会種鳩となった優勝鳩を掴んで貰いました。

「小ぶりな体型でゴム毬のような筋肉。素晴らしいですね。このようなトリを作りたいと思っているのですが、なかなかうまくいきません(笑)」。

小泉さんは、新潟県出身。子供の頃は鳩ブームで、周りの友達が皆、伝書鳩を飼っていました。もちろん小泉さんもブームに乗ります。友人から何羽か譲ってもらい、手作りの小さな鳩小屋で飼っていました。当時、何度放しても必ず自宅に戻ってくる鳩の習性が面白くてたまらなかったといいます。しかし、進学、就職と人生の道を歩んでいくうち、自然と鳩とは縁遠くなっていきました。

小泉さんが再び、鳩飼育を始めたきっかけは30歳を過ぎてから。家族を持ち、会社の所在地である茨城県に家を建て、平穏に暮していたある日のことでした。仕事柄、様々な現場へ出かけることが多い小泉さん。とある現場へ向かっていた時、1軒の〝鳩屋さん〞を見つけます。そこは、茨城県内にある『水戸レース鳩センター』。当協会所属の山田 瑞さん(現・NYロフト)が経営するお店でした。子供の頃の郷愁から、ついフラっと立ち寄ってしまったが最後(?)、もう一度、鳩の魅力に取り憑かれてしまったのです。

機会を見つけてはお店に通っているうち、「そんなに鳩が好きなら、レースをやってみれば?」と誘われ、35歳の時に北関東地区連盟の茨城セントラル連合会へ入会。連合会員として鳩レースを楽しみます。

「自宅に鳩舎を建てて、最盛期で種鳩200羽、選手鳩は毎年150羽くらい作出していました。鳩を飛ばすのは、本当に楽しかった。ただ、レース成績の方は〝鳴かず飛ばず〞でしたけれど(笑)」。

ところが約6年前、小泉さんのピジョンライフに大ピンチが訪れます。会社の辞令で、大阪支社への転勤が決まってしまったのです。社宅での単身赴任となるため、もちろん鳩レースはできません。やむなく連合会を退会し、鳩飼育から離れた小泉さんですが、そこに救いの主が現れます。

「せっかく鳩飼育を楽しんでいたのに、中断は残念でなりませんでした。その時、鳩レースを楽しむなら国際委託鳩舎の委託レースがあるじゃないか、と思い浮かんだのです」。

すぐさま、賛助会員として再入会。社宅では鳩舎が持てないため、前述の山田さんにお願いして、鳩舎を借りて委託鳩を作出して貰うことになりました。そう、協会の国際委託鳩舎と鳩友が、小泉さんのピジョンライフの救世主となったのです。以降、東京支社、現在は千葉県松戸市へと転勤を繰り返しながらも、八郷国際委託鳩舎へ毎年、数羽ずつを委託してレースを楽しんでいます。

そんな小泉さんに朗報がもたらされたのが、昨秋11月28日開催の『八郷オータムカップ200K』。プレレースながら、なんと優勝を獲得したのです。「ちょうど協会近くの現場で仕事をしている時、山田さんから電話がありました。少ない羽数しか委託していないのに、まさか優勝できるとは…。本当に嬉しかったですね。実はこの優勝鳩、長距離狙いで作出していたので、レースを継続しようと考えていたんです。でも、『優勝なんてめったにできないんだから』と止められ、種鳩として引き取ることにしました(笑)」。

今年は、すでに10羽を八郷鳩舎へ委託した小泉さん。オータムカップの優勝鳩はまだ配合できませんが、優勝鳩を生み出した配合ペアの直仔に加え〝ユーロ・ダイヤモンド〞(INレース5位以内3回入賞)のラインとヤンセン系のペアの直仔も預けています。そんな小泉さんに委託レースの魅力を聞くと…。

「同一管理なので、純粋に自分の作ったトリの能力がわかるのが楽しい。希望をいえば、将来的に国際委託鳩舎でもGNを開催して欲しいですね。これまでの委託歴では、オリエンタルカップまで残ったのが最高記録です。私は長距離が好きなので、やはり国際CHが一番楽しみ。来年はなんとか、自分の委託鳩が最終レースまで残って欲しい。夢は大きく〝東日本CH総合優勝〞かな(笑)」。

協会の国際委託鳩舎と鳩友をパートナーに、小泉さんのピジョンライフは、これからも続いてゆくでしょう。

〈パートナー・山田 瑞さん(茨城セントラル)のコメント〉

小泉さんとは、ずいぶん長いお付き合いになりますが、温厚な人柄で素晴らしい方です。彼は出会った頃から、鳩に対する熱い情熱を持っていました。仕事で転勤になる時、種鳩を50羽くらい預かり、それからずっと飼育と作出のお手伝いをしています。今も週に1、2回、配合時期には毎日、連絡を取り合っていますよ。現在、私も新しく自鳩舎を建てているところです。65歳で仕事を引退したら、鳩一筋で頑張りたいと思いまして。その時は、ぜひ小泉さんと一緒に、共同鳩舎で鳩レースを楽しみたいと考えています。これからも、共にピジョンライフを楽しんでいきましょう!

16年度 八郷国際親善鳩レース大会優勝鳩のボディに感心しきり!
オータムカップ優勝鳩を掴む小泉さんとパートナーの山田 瑞さん(写真左)

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