ハトを飼ってみよう!-ブリード(繁殖)からレースまで、新しいペットの楽しみ方ー  第6章 ハトの仔育て

ペットを飼うといえば、ワンちゃん、ネコちゃん、ウサギさん・ハムスターといった小動物、またインコや文鳥といったトリさんを思い浮かべる方が多いでしょう。最近では、ヘビやトカゲといった爬虫類を飼いたいという方もいますね。 「でもせっかく動物を飼うなら、人とは少し違ったペットを飼ってみるのも面白いかも…」と思ったあなた、ここでおススメするのは、皆さんおなじみのハトです! 「ハトってあの公園にいる…」と思われた方、実はハトにはたくさんの種類があり、ペットとしてお勧めするのは、由緒正しき血統を持ったレース鳩(伝書鳩)。 元々、ハトは帰巣本能を持っていて、きちんとした手順を踏んで飼育すれば、自分の家(鳩舎)へ帰ってきますし、また、自身でブリード(作出)したヒナを鍛え上げることによって、ピジョンスポーツ(鳩レース)にも参加できます。 ピジョンスポーツは世界中で盛んに行われており、海外の大きなレースで好成績を挙げたハトには、種鳩(競馬でいえば種牡馬)として、1羽数千万円の値段が付くことも! そんな魅力満載のハト飼育。ここからはハトを飼う前の準備について、お話しします。

さて今回は、ハトの作出(仔作り)の実態に迫ります!

配合(雄雌のつがい)されたハトは、2羽で巣作りを始めます。実は、ハトは巣作りが苦手。そのため、小屋の中に巣皿を用意してあげます。巣皿には、藁などを入れてあげればよいですが、無ければシュレッダーされた紙屑などでも代用できます。また、卵が壊れるのを防ぐため、乾燥した砂を巣皿に敷くのも良いでしょう。

こうして、10日前後で第一卵、中1日ほどを置いて第2卵を産みます。この2つの卵が揃うと、オスとメスが交互に卵を抱く、いわゆる抱卵を始めます。だいたい、オスが午前9時から午後4時頃までの昼間、メスは夜間を受け持つようです。

約18日間、抱卵を続けると、ヒナが孵ります。孵ったばかりのヒナは目も見えず、黄色い産毛に包まれた弱々しいもので、自分で動くこともできません。ヒナは、親鳩が口移しに乳糜(にゅうび)という乳のようなものを与えて育てることで、ぐんぐん成長して、大きくなります。

ほとんどの鳥類は、ヒナの頃から昆虫や木の実などを餌としていますが、ハトは人間と同じようにミルクを与えて、ヒナを育てます。これは素嚢乳(そのうにゅう)と呼ばれ、鳩の胸のあたりにある器官で作られます。ハト特有(他の鳥類ではフラミンゴ)のもので、英語では「ピジョンミルク」といいます。体内で作られるこのミルクを、親鳩は吐き出してヒナに与えますが、このミルクには動物性たんぱく質の他、脂肪が多く含まれています。鳥類としてはとても珍しいヒナの育て方です。

ミルクを与えている4,5日間、親鳩は乳糜を与える役を交代する時以外は、巣皿から離れません。小屋を覗いたりして、親鳩を驚かせない方が良いでしょう。ただし、交代する時にヒナを巣皿から外へ落してしまうことがあるので、その点は注意してください。ヒナが外に落ちた場合、すぐに巣皿に戻してやらないと、そのまま死んでしまいます。

1週間くらい経つと、ヒナもずいぶん大きくなり、少しくらい親鳩が離れても大丈夫になります。

育ちによって差はありますが、レース鳩として登録する場合、この頃に脚環(きゃっかん)と呼ばれる足環を脚に入れます。前の指3本をまとめて輪を通し、スネの部分まで押し込んでから後ろ指を外します。なお当協会の登録脚環は、右足に数字を逆になるように入れるのが正しい入れ方です。

大きくなりすぎて脚環を入れにくい場合は、石鹸を付けて滑りやすくすると、うまく入れることができます。逆にヒナが小さすぎると、脚環が抜けてしまうこともあるため、装着後2,3日は注意してみていてください。脚環は、レース鳩の個体証明となりますので、非常に大切です。

さて生後20日を過ぎると、ヒナも大きくなり、皆さんが良く知るハトの体型となります。この頃になると、かなりの量を食べるようになるため、親鳩も大変です。定期の餌やり以外にも、小屋の中に置き餌をしてやると良いでしょう。親鳩に与える餌は、小粒と呼ばれる、サフラワーや麻の実といった高カロリーの配合飼料を。

ヒナを育てている親鳩は、餌を普通の倍以上は食べますので、餌の量には十分注意してください。発育の良いヒナを作るためには、親鳩に十分な良い餌を与えなければなりません。また鉱物飼料やビタミン補給の青菜、新鮮な飲料水も忘れずに与えるようにしましょう。

だいたい生後25日を過ぎると、ヒナは自分で餌をついばむようになります。与える餌は、ヒナ用の高カロリーな配合飼料がありますので、それを与えるのが良いでしょう。成長を見て、25日目から35日目くらいにヒナを親鳩から離します。これを「巣立ち」といいます。

ヒナはいつまでも親と一緒にしておくと、親から餌をもらおうとして、自分で食べないため、かえって成長が悪くなることがあります。早めに自立させて自分で生きていくことを覚えさせることも必要です。

できれば「巣立ち室」のようなものを作り、同じ年くらいのヒナを入れておくと良いです。難しい場合は、放鳩カゴのような大きなかごを利用するのも良いでしょう。またほかの大人のハトと一緒にしておくと、突かれて怪我をしてしまうこともありますので、注意してください。

「巣立ち」後、水を飲めないヒナもいます。1,2日して元気がなく、餌もあまり食べないヒナがいた場合、飲水器の中にクチバシを入れてやると、ゴクゴクと飲むでしょう。一度教えてやれば、後は自分で飲むようになります。

どうしても餌を食べず、弱ってしまうヒナがいたら、親鳩のところへ戻してやってください。しばらく親鳩に世話をさせたら、また「巣立ち」させます。

ヒナの様子を見ながら、色々と工夫してやってみましょう!

(第7章へ続く)

前へ

趣味のピジョンスポーツ 第15回「夢とロマン、鳩レースは人生の生きがい」 新津光昭鳩舎

次へ

「令和2年度 会長賞」各連盟 受賞鳩発表!