ハトを飼ってみよう!-ブリード(繁殖)からレースまで、新しいペットの楽しみ方ー 第2章 鳩を飼う前に その1(鳩舎作り)
●鳩舎(鳩小屋)の作り方
皆さんのお薦めするペットのハト。その一番の魅力は、大空に放つと青空の中を自由に飛び回り、また自分の家(鳩小屋)に戻ってくることです。様々なペットがいますが、屋外に放っても、自分の意志で必ず家まで戻ってこようとする動物は、ハト以外にいないと思います。
もちろんハトが家へ帰って来るためには、籠で飼う小鳥とは違った入れ物を作らなければなりません。ハトを飼う前に、まずは鳩小屋を用意しましょう。
鳩小屋のことを鳩飼育している方は、鳩舎(きゅうしゃ)と呼びます。競走馬の厩舎と同じ読み方ですね。
鳩の大きさは通常、体長約30センチ・体高約20センチ・肩幅約12センチ位。ただし鳩は羽根を持っており、もちろん羽ばたきをします。片方の翼が約30センチはありますので、鳩舎には相応の広い空間が必要となります。
オスメスのペアで2羽を飼育するには、1㎥(立方メートル)ほどあれば、充分でしょう。ただしハトを飼う楽しみの一つにブリード(繁殖)がありますので、飼育ハトが増えた場合やヒナが産まれることも考えて、可能な限り大きめに作っておいたほうが良いでしょう。
自宅に庭がある方ならば、充分な敷地を確保できます。「そこまでのスペースがない」という場合でも、愛鳩家の中には、自宅のバルコニーやマンションのベランダで、工夫しながら飼育している方もいらっしゃいますよ。
鳩舎の基本的な構造は、出入り口と鳩の休憩する場所が必要です。鳩舎作りの一番のポイントは、換気と採光。なるべく風通しが良く、日光が当たる場所を考えましょう。通風のため、金網を張った窓を作らなければなりません。鳩舎に新鮮な空気を取り入れることは、愛鳩が病気に罹らないためにも、とても大切です。
採光に関しては、鳩舎を南向きにするのが理想ですが、ある程度日が当たれば、さほど気にする必要はないでしょう。あと、鳩を安心させるため、ネコやイタチといった外敵に襲われない場所や高さに鳩舎を置くことも大切です。
具体的には、天井の高さは自分の身長程度が目安。そのくらいの高さならば、飼い主がハトを掴みやすく、ハトも落ち着きます。床にはハトの糞が落ちますので、材質は固い板などが一般的。1.2㎝程度のベニヤ板が良いでしょう。鳩舎を掃除する際にフンカキ(糞掃除の道具)が引っかからないように、段差がないように釘やネジなどもしっかり締めておく必要があります。
ハトの出入り口には、トラップという道具を取り付けます。これによって、外からは中に入れますが、中からは出られないようにします。ハトが鳩舎に入りやすいように出入り口には到着台(止まり木となる板)を設置しましょう。
さて小さな鳩舎は昔、リンゴの木箱などを利用して手作りしていたようです。現在では、鳩業者さんなどでも販売されており、既製品で約2万円程度から。しかし販売している業者が少なく、小さな鳩舎(1㎥程度)ならば、ホームセンターで材料を購入して、DIYで手作りされる方が多いようです。
手作りで鳩舎を作る場合、まず鳩舎を設置する場所のサイズ(幅・奥行き・高さ)を測り、簡単な設計図を作りましょう。
準備する材料は、角材や木の板、ベニヤ板、ネジ釘、金網、扉の蝶番など。あと電動ドライバーも欠かせません。幅60センチ・奥行き60センチ・高さ90センチ程度の鳩舎ならば、材料費は一万円程度。内部には、鳩が止まれる止まり木を設置しておくと良いでしょう。
止まり木の例
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その他、鳩舎作りで気を付ける点は、雨が屋根に溜まらないように、傾斜をつけるか、トタン屋根のような形状にすること。降雪地域ならば、雪が入り込まないように金網の部分をビニールが掛けられるようにするなどして工夫すること。プレハブ住宅のように、部屋の中で各部分を作り、設置する場所で最終的な組み立てを行うことなどが挙げられます。なおスペースに余裕があれば、ハトの水浴び場も作っておきましょう。
ここまでザっと、鳩舎について説明しましたが、実際の写真や図を見れば、そのイメージが湧くと思います。下記に小さな鳩舎やベランダ鳩舎、バルコニーを利用した鳩舎を掲載しますので、参考にしてください。
最初は小さな鳩舎でも、飼育数が増えてきたら、中規模鳩舎に変更しましょう。その際は、自宅近くでハトを飼っている方に話を聞くなどして、作った方が良いでしょう。その際、当協会へご連絡いただければ、近くにお住いの愛鳩家さんをご紹介することもできますよ。
お子さんがいらっしゃるご家庭ならば、夏休みの自由研究に「鳩舎作り」をテーマにするのも良いかも。皆さん、ぜひ挑戦してみてくださいね。
(第3章へ続く)