連載2-1、後代検定とは

このコーナーは、会員の方からの寄稿や過去に掲載された本誌の記事を元に、伝書鳩及び鳩レースの今昔を鳩仙人の語り口で掲載します。本稿は本誌で連載された「レース鳩作出余話」(83年〜87年連載)を引用・改編しています。(イラスト著作/無料イラスト素材 はちドットビズ)

鳩レースにおいては、優れた種鳩を導入して良い成績を収める人も多いが、一方でさっぱり成果が出ない人も多いものじゃ。また、成績を残した選手鳩を種におろしたは良いが、子孫の成績がイマイチという方もおるじゃろう。

これは、作出者が種鳩の良し悪しを理解しておらんのが原因じゃ。そのままでは、無駄に繁殖を続けてしまうことにもなりかねん。また、新しい種鳩を導入するにしても、今使っておる種鳩の能力をしっかり評価できねばならん。そこで、今からその評価の手段を説明するが、「何をいまさら…」と思わず、基本に立ち戻ったつもりで、聞いてくれるかのう。

まず、レース成績と遺伝能力は一致しないとの認識が必要じゃ。要は「良き選手鳩が良き種鳩とは限らない」ということじゃな。レース成績の良いトリが良い遺伝因子を持つとは限らず、兄弟姉妹が全て同じ遺伝因子ともいえず、結局のところ、種鳩としての能力はその仔鳩の能力を見なければわからない訳じゃ。これをより正しく、精密に速やかに証明するのが「後代検定」という手段なのじゃ。

もちろん、レース鳩を数年以上に渡って飼育管理してきた愛鳩家は、意識しているかは別にして、それぞれの鳩が産んだ仔鳩の成績を見て、親である種鳩の能力を評価していると思うが、実際にこの「後代検定」を具体的な計画で進めておる人は少ないじゃろう。これによって、新たな種鳩の導入時も速やかにその能力を判断できるのじゃ。レース鳩は血統によりコースに対する適応性が異なるため、「導入鳩の能力が、果たして自鳩舎のレースコースに十分対応しきれるものか」という点も検定でき、種鳩の選抜淘汰もやりやすくなるじゃろう。要は「自鳩舎にとってより良い鳩を作りやすくなる」ということじゃな。また、配合や作出には相性(ニッキング)がある。血統にも相性が合う血統とそうでない血統があり、具体的には「仔出しが良い悪い」などということじゃが、これを知ることは非常に大事で、そのためにも「後代検定」を行うことが大切なのじゃ。

1羽のレース鳩が竹鳩として活躍できる期間は、だいたい10年以内よのう。能力を持つ種鳩を見極め、できる限り効率よく配合・作出したいものじゃ。じゃが、できた仔のレース鳩としての優劣の判断は、なるべく同条件で飛ばさぬことには比較するのが難しいのう。では次回から、具体的な「後代検定」の進め方をお話しするとしようかのう…。     (この稿続く)

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連載2-2、後代検定のポイント その一