連載2-2、後代検定のポイント その一

このコーナーは、会員の方からの寄稿や過去に掲載された本誌の記事を元に、伝書鳩及び鳩レースの今昔を鳩仙人の語り口で掲載します。本稿は本誌で連載された「レース鳩作出余話」(83年〜87年連載)を引用・改編しています。(イラスト著作/無料イラスト素材 はちドットビズ)

種鳩の後代検定を行うに当っては、できる限り早い時点でその評価を行い、判定を下すことが大事じゃ。さりとて、いわゆる早合点に陥ってはいかん。正しくきめの細かい検討が、ぜひとも必要となるのじゃ。そこで、ここからはレース鳩の備えるべき不可欠の諸性能を挙げ、それぞれがどのように仔鳩に表現されてきたかを調べてみようかのう…。

(一)強健性

レース鳩にとって、強健性はあらゆる場合に最も大切な条件の一つじゃ。ことに、長距離レースにおいては健康に満ち溢れた鳩でなければ、優入賞することは到底できぬ。

昨今、多数の種鳩が世界の各地から輸入されている鳩レース界では、鳩特有の病気が絶えず持ち込まれている危険性があることも認識しておかなければならん。ここで少し、話が横道にそれるが、動物の伝染病が(人間も同じではあるが…)、いかに猛威を振るおうとも、それによってその種族が全滅することはありえん。そこで全滅するような種族であれば、遠い昔に全滅してしまっているのが普通じゃ。最近ではパンデミック(感染症の世界流行)という言葉もあるが、どんなにひどい疫病が流行しても、必ずその病気に打ち勝って声明を全うする個体が相当数いるものじゃ。要するに、そのような健康に信頼のおける鳩を見つけることが必要となる訳じゃ。

例えば、サルモネラ症やトリコモナスなどの病気が発生したとしよう。当然、同一鳩舎内の鳩同士で感染してもおかしくないような状況でも、常に健康で病原体の検査が陰性を続けている鳩もおるじゃろう。一方、成鳩であっても、病気が感染した途端に衰弱死するような鳩もおる。このような病気に対する抵抗性を抗病性と呼ぶのじゃが、この点を十分に注意して鳩を観察せねばならん。

種鳩の近親交配の程度を示す指標として「近交係数」という用語が用いられるが、近親交配が繰り返され、非常に近い血縁関係の雌雄が交配されるに従って、産まれた仔の虚弱化が強まり、抗病性は低下する。それが著しいものは、致死因子として挙げられるが、一つの血統の良さを認めて近親交配を繰り返す際、このことが改めて大きな問題として浮かび上がってくるじゃろう。

また鳩レースでは、選手鳩を放鳩籠やケージに入れて輸送するため、その際に感染することも当然考えられる。ことに長距離レースでは、放鳩地で給餌や給水をするため、感染する機会も多くなるものじゃ。そのため、例え病原体の感染を受けても、体内への侵入や増殖及び発病の起こらない丈夫な選手鳩を育てねばならん。健康な体であれば、その抗病力が発揮され、侵入する病原体を水際で阻止するか、侵入されても撃退される。これが、先天性免疫、後天性免疫といわれるもので、この能力は個々の鳩によって大きな差があるのじゃ。

ではこの能力の遺伝は、どこで判断すればよいじゃろうか。実はこれに関しては、かなり早い段階で確認が可能じゃ。まず孵化した雛の卵の殻を観察するのじゃ。これは内面が白色で汚れのないものでなければならん。赤くたくさんの欠陥が残っている状態やヒナのへそが綺麗にとれずに残っている時は、気を付けるべきじゃろう。これは寒冷期に孵化した時にも起こりやすいが、孵化までに発育に異常があると現れるため、このような状態の時は、種鳩の健康チェックが必要じゃろう。また、孵化寸前卵の殻を破る力が無い状態、いわゆる死籠りが起きた場合も、配合ペアの検討が必要じゃ。

以上、強健性の最低限のケースについて話したが、これが繰り返し起こる場合、特に気候が温暖となる5月、6月まで続くなら、もはやそのペアに欠陥があると考えなければならん。これは、主にメス鳩に原因があるケースが多く、そのほとんどは虚弱体質であるか、病原菌を保有している場合が多いのじゃ。この場合、そのトリは種鳩として除外して考えるべきじゃろう。

では次回、ヒナの健康における巣立ちまでのチェックポイントを話すとするかのう…。 (この稿続く)

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