趣味のピジョンスポーツ 第11回「目標は国際委託鳩舎での優勝」 坂東泰宏鳩舎

19年八郷国際CH900K第9位鳩を手にする坂東さん
今回ご紹介する賛助会員の方は、徳島県内にお住まいの坂東泰宏鳩舎(61歳)。同鳩舎は、昨年度に「八郷国際チャンピオン900K第9位」、今年度は「伊賀オータムカップ200K第5位」・「伊賀国際サクセス200K第8位」と、立て続けに国際委託鳩舎でベストテン入りを果たしています。30代の時、子供の情操教育のため、鳩飼育を始めたという坂東さん。そのピジョンライフはいかなるものでしょうか…。

「目標は『北海道から鳩を帰す』。これは連合会員時代から賛助会員として委託レースを行っている現在まで、一貫して変わりませんね」。

こう話すのは、徳島県内で公務員として勤務しながら、鳩レースを楽しむ坂東泰宏鳩舎(61歳)。坂東さんと鳩との出会いは、小学生の頃でした。東京五輪後の鳩レースブームでクラスの友達のほぼ全員が鳩を飼育する環境の中、ご自身も近所の愛鳩家から譲ってもらったり、小鳥屋さんで買ったりした約10羽のレース鳩を手作りのリンゴ箱鳩舎で飼育していたそうです。この頃はレースには参加せず、舎外のみで自作の鳩舎に帰って来る鳩を見て楽しんでいました。しかしその後、思春期を迎えると、徐々に鳩飼育から離れてしまいます。

それから約20年の月日が流れ、坂東さんは30歳を迎えました。仕事に就き、結婚して子供も生まれ、幸せな家庭を築いていたある日、坂東さんはふと鳩のことを思い出します。

「子供の成長に従い『情操教育のため、何かペットを飼ってみよう』と考えたんですよ。その時、自分が子供の頃に飼っていたレース鳩のことが、頭に浮かびました。育てた鳩が自分の家に帰って来る姿は、感動的で忘れられない。子供たちの成長にプラスになると思いましたね」(坂東さん)。

早速、自宅の庭に鳩舎を建ててレース鳩を購入。元々は「子供たちの情操教育のために」と飼い始めたレース鳩。鳩レースに参加するつもりは毛頭ありませんでした。ところが、家族と一緒に鳩飼育を続ける中、「どうせレース鳩を飼うなら、自分が子供の頃に憧れた鳩レースに参加したい」との情熱が燃え上がってきます。その思いが募り、1989年に地元の阿波連合会に入会。連合会員として、ついに鳩レースを開始します。
山に囲まれた四国地方は、鳩レースにとってハンディが大きい地域。厳しい帰還率の中、懸命に愛鳩達を鍛え上げた坂東さんは、数年後(94年)に桜花賞900Kで連盟総合優勝を獲得するほど、レースマンとして腕を上げていきます。

「自宅は山に囲まれており、地理的に厳しい。目指していたのは長距離レースですが、そこまで鳩が残らないことが多かったですね。だから900Kレースで連盟優勝できた時は感動しました。優勝したことより帰ってくれたことが嬉しくて…。家族も喜んでくれたか?残念ながら、鳩レースには全く興味を示してくれなかった(笑)」(坂東さん)。

その後、審査委員長も務めるなど鳩飼育の道を邁進していた坂東さんですが、仕事の都合で訓練や持ち寄りが困難に。5年前、やむなく連合会を脱会。しかし鳩レースを諦めることができず、賛助会員として委託レースの道を目指すことになります。

「やはり鳩飼育だけは続けたいと思って、賛助会員になりました。連合会員時代には諸先輩方の指導の下、距離測定の資格を取得した他、様々な教えを受けて自分自身のプラスになりましたね。現在使っている系統は、地元の飛び筋にカトリス系やパピヨン系といった異血をプラス。基本的には長距離系の血統です。また、委託レースを行うからには、必ず北海道から帰還させたいと思っていました」(坂東さん)。

初めての委託は、13年度の八郷国際委託鳩舎レース。このシーズンは3羽のみの委託ながら「国際親善鳩レース大会500K」で第69位の成績を残して終了。初の委託で、目標の「北海道からの帰還」まであと一歩に迫ります。これが坂東さんのレース魂に火をつけました。翌年からは伊賀シリーズにも参戦。種鳩への投薬を欠かさず、巣引きの時期にはカロリー高めの餌に変更といった連合会員時代の知識を駆使して、徐々に成績を伸ばしていきます。

そして昨年、八郷シリーズにおいて、積み重ねた努力がついに花開きます。なんと、19年度八郷国際チャンピオン900K(放鳩地・北海道汐見)で第9位に入賞したのです。念願の「北海道から鳩を帰す」という夢を叶えたのみならず、ベストテン入りというご褒美まで付きました。

「入賞は、同レースで優勝した小林保美さん(神港連合会)が電話で教えて下さいました。以前から、小林さんとは種鳩の導入や選手鳩を飛ばして頂くなど、色々なお付き合いがあったんですよ。知らせを聞いた時は、嬉しいというよりもビックリしましたね。とにかく、帰還したことが一番」(坂東さん)。

今年度は、伊賀オータムカップ200K第5位、伊賀国際サクセス200K第8位と好調をキープしている坂東さん。最後にこれからの目標を聞くと…。

「実はここ数年、国際委託鳩舎までの鳩輸送の問題で悩んでいたんですが、伊賀鳩舎では輸送便ができたため、大変助かっています。今年は八郷鳩舎に9羽、伊賀鳩舎に19羽を委託しました。委託レースの魅力は全国から集まった俊鳩達と、自分の作出した鳩が戦えることにあると思います。八郷CHの入賞で目標が一つ叶ったので、次の目標は優勝!日本一を目指したいですね」。

これからも体力が続く限り、鳩飼育を楽しみたいという同鳩舎。北海道からの帰還という夢を叶えた後も、次の夢に向かって邁進中のようです。

3坪の鳩舎で、種鳩は30羽程度
自鳩舎は山に囲まれた地形

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