趣味のピジョンスポーツ 第8回「速報のトップで名前を見た時、何かの間違いかと…」坂本幸也鳩舎

2015年度 八郷国際親善鳩レース大会500K第6位入賞鳩を手にする坂本幸也さん。
今回ご紹介する賛助会員の方は、埼玉県内にお住いの坂本幸也さん(62歳)。昨秋の「2020年度 伊賀オータムカップ200Kレース」で優勝されています。かつては連合会員として連盟レースで総合優勝の経験もある坂本さんは、レース中断を経て22年ぶりに賛助会員として鳩飼育に復帰。果たして、そのピジョンライフとは…。

「現在の日本の住宅環境では、自宅に大きな鳩舎を構えるのは難しくなってきていますよね。委託レースを楽しむ方法が、これからの鳩レースの主流になるのではないでしょうか」
こう語るのは、埼玉県内に在住の坂本幸也さん(62歳)。
 坂本さんが鳩飼育と出会ったのは、小学校4年生の時。自宅の隣に自動車工場があったことがきっかけでした。その工場で勤務する方がレース鳩を飼っており、父親が数羽貰ってきたといいます。当時は1964年の東京オリンピック後で、同大会の開会式の放鳩イベントを皮切りとして、全国的に鳩レースの一大ブームが起きていた頃でした。
 坂本さんが通っていた小学校に鳩を飼っていた友人はいなかったそうですが、空前の鳩ブームを目の当たりにして、自然と鳩飼育に興味を持ち、世話を始めることにしたそうです。
「朝晩の餌やりや鳩小屋の掃除をしている内に、いつの間にか鳩を好きになっていました。当時はただ鳩を飼っていただけで、レースなどには参加していなかったのですが、放鳩訓練はしていました。鳩をかごに入れて自転車で10キロから15キロほど離れた場所から放しました。鳩舎に帰ってきた姿を見た時は、そりゃ嬉しかったですよ」(坂本さん)。
 小学4年生から中学3年生まで約6年間、飼育に精を出した坂本さんですが、高校進学を機に、鳩飼育を中断。入学した学校が自宅から離れていたため、朝夕の世話がままならなくなったのが理由だそうです。しかしながら、一度火が付いた鳩への愛は忘れられません。大学に進学後、ある程度の時間が取れるようになった時、再び鳩を飼い始めることにしました。「再開したのは20歳の頃。この時はもう大人だったこともあり、自分が育てた鳩でレースがしたいと思い、連合会へ入会。初めてレースに参加した時は感慨深かったですね」。
 再開後は、地元に近いニュー上州連合会に入会。当初は父親の知り合いから譲ってもらった鳩で作出していましたが、やがて地域の飛び筋などの種鳩を導入していきます。大学を卒業後、地元の製造業に就職しましたが、社会人になっても鳩飼育及びレースは続行。約10年間の連合会員歴の中で、桜花賞1000Kレースにおいて連盟の総合優勝を獲得するなど活躍しました。しかし30歳の頃、会社で責任のある立場となり、業務が忙しくなったことから、再び鳩飼育を中断。それから約22年間、鳩とは縁遠い生活を送っていましたが、52歳の時にひょんなことから鳩飼育を復活することになります。
「実は50歳を過ぎた頃、体を壊して仕事をリタイヤ。のんびりと毎日を過ごしていたのですが、ある日、自宅の車庫に迷い鳩が飛び込んできたんですよ。その姿を見た時、『もう一度、鳩を飼ってみたい』との思いが湧いてきました」。
そこでインターネットを検索し、種鳩を導入。当初はレース再開するつもりはなかったため「できるだけ安い鳩を」と考えたといいます。その後、いろいろと調べる内、国際委託鳩舎レースのことを知った坂本さん。委託レースに参加するため、日本鳩レース協会への入会を決断。体調とブランク期間を考えて、賛助会員としての復帰を決めました。
以来、「レースで帰還させるためには系統がモノをいう」と考え、協会の機関誌やネットなどで強豪鳩舎が使っている飛び筋を研究。委託鳩舎レースのため、「配合や作出はできる限り早めに」を意識しているといいます。
「今、鳩舎規模は1坪ほどですが、種鳩20羽、選手鳩は毎年30羽ほど作出。毎年、八郷鳩舎と伊賀鳩舎に約10羽ずつ委託しています。最初は種鳩と選手鳩を一緒に飼っていましたが、委託するまでヒナのみを大きなゲージに分けるようにしました。これによって、ヒナの巣立ちが早まったような気がしますね」。
15年度には〈八郷国際親善鳩レース大会500K〉で第6位に入賞。初のベストテン入りを果たしました。そして昨秋、〈伊賀オータムカップ200K〉で見事にトップの座を掴み、夢の初優勝を飾りました。
「当日、インターネットのレース速報を見ているといきなり画像が乱れたんです。イライラしていると、いきなり自分の名前がトップに。最初、何かの間違いじゃないかと思いましたよ(笑)」。
今年は八郷・伊賀の両国際委託鳩舎に約39羽を委託しているという坂本さん。最後に、委託レースの醍醐味を聞くと…。
「今の国際委託鳩舎レースは、インターネット環境さえ整えれば自分の鳩が帰還したかどうか、すぐにわかるのが楽しい。また、翌年の配合を考える上で、訓練などレース前の在舎情報が見られるのも嬉しいですね。一番楽しみなレースは最終レース。やはり長距離を返すことが目標です。あと今後、若年層の愛鳩家が増えていって欲しいと思います。もっと若い人たちに鳩レースの魅力を知ってもらいたい!」。
 2度の飼育中断、そして再開を経験した愛鳩家は、〝三度目の正直〟で、充実したピジョンライフを手に入れたようです。

2020年度 八郷オリエンタルカップ700K第110位の鳩を手に。
今年、伊賀鳩舎に委託するヒナ達。

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