趣味のピジョンスポーツ 第25回「飽くなき挑戦で、最終レースの壁を打ち破る!」 渋谷正夫鳩舎

自鳩舎で鳩を掴む渋谷さん
今回、ご登場いただくのは、滋賀県にお住いの渋谷正夫さん(71歳)。10代の頃、鳩ブームに乗り、飼育を行っていたという同鳩舎ですが、20歳の時に諸事情で中断。その後、ひょんなことから約40年間のブランクを経て、鳩飼育を再開することになります。再開後は委託レース専門。それから10年以上の時を経て、最後のチャンスと挑んだ20年度の「伊賀国際サクセス200K」で、ようやく念願のベストテン入賞を果たしました。そのピジョンライフやいかに…。

「鳩レースは本当に難しいですよ。いろいろ作出や飼育の勉強もしたのですが、なかなかレースを帰せなくてねぇ。もうやめようかと思っていたところ、帰ってくれました。しかも上位入賞。嬉しかったですね」。

こう語るのは、滋賀県で鳩飼育をしている渋谷正夫さん(71歳)。現在、伊賀国際委託鳩舎を専門に、委託で鳩レースを楽しんでいらっしゃいます。

渋谷さんが鳩と出会ったのは、小学3年生の時。3歳年上のお兄さんが鳩を飼っており、譲って貰ったのがきっかけだそうです。

「まだ小学生でしたから、譲って貰ったはいいが、最初は全く鳩に興味がなくて(笑)。でも飼っていると、だんだん可愛いなと思い始めたんです。そうこうしている内に、中学生の頃、鳩ブームが来てね。その当時、鳩レースのことも知りました」。

中学生になると一転、鳩を飼育する友人たちも増え、自転車での四方訓練や舎外も熱心に行うように。また、当協会の連合会に所属してレースを行っている友人もいたそうで、時々、自分の鳩を預けて飛ばして貰っていたそうです。この頃、地元の品評会に出陳して準優勝を獲得した経験もあるのだとか。

高校を卒業後、大手電機メーカーに就職。長距離通勤になりながらも、鳩を飼い続けていたという渋谷さんですが、20歳の時に転機が。自宅の新築に伴い、住宅地へ引っ越すことになったのです。それまで暮らしていた場所では、舎外を行っても近所迷惑になりませんでしたが、今度はそうはいきません。両親からの懇願もあり、やむなく鳩飼育を中断することにしました。

「幼い頃から鳩を飼っていたので、飼育を断念するのは残念でした。今思えば、やっぱり鳩が好きだったんでしょうね」。

渋谷さんが再び、鳩との縁をつなぐのは、なんと約40年後、数年後に還暦を迎える頃でした。そのきっかけは、ドライブ中に見たある風景だったといいます。

「近所のショッピングセンターへ買い物に出かけていた最中、ふと車の外を見ると、たくさんの鳩が飛んでいるのが見えたんです。『あれは、何をしているのだろう』と気になって、その場所に立ち寄ったんですよ。そこが伊賀鳩舎でした」。

伊賀国際委託鳩舎を訪れた渋谷さんは、鳩舎スタッフから当協会の委託レース事業の話を聞きます。そして「もし良ければ、鳩を飼ってみませんか?」と勧められました。すると、20歳で諦めなければならなかった鳩飼育への情熱が、その胸にフツフツと湧き上がってくるのを感じたようで…。

「自宅から近い場所に、こんな大きな鳩舎があるとは思ってもみなかったので、最初はビックリ。でも、ここで行っている委託レースならば、住宅地に住んでいる自分にも鳩レースができるんじゃないかと。自鳩舎でレースを行う連合会員はダメでも、種鳩だけなら何とかなるかなと思いまして。迷ったのですが、若い頃に鳩を飼いたくても飼えなかった思いが甦ってきてね。思い切って、もう一度、鳩を飼う決心をしました」。

そして58歳の時、賛助会員として入会。とはいえ、ブランクが長すぎて鳩を飼うのは初心者も同然です。種鳩は伊賀スタッフに譲ってもらったものの、どうすれば良いかわかりません。まずは建設業をしていた義理の兄弟にお願いして鳩舎の建設。飼育方法などは、伊賀スタッフや連合会に所属していた友人、また毎月送られてくる協会の機関誌を読んで勉強したといいます。

「何もわからなかったので、鳩舎の設計は自分の勘(笑)。新しい種鳩も、日本鳩レース協会の作出鳩を導入しました。ちなみに、オークションでは落とせず、特別頒布で(笑)」。

かくして、レース鳩の再飼育が叶った渋谷さん。2年後、満を持してのレース参加は13年度の伊賀国際鳩舎シリーズ。しかし、レース参加まで到達できず失踪してしまいます。「やはり初心者では厳しいか…」と落ち込みますが、めげることなく挑戦。15年度シリーズにおいて、ようやくレースまでたどり着きます。この年の成績は、300K3羽帰すなど期待が持てる成績でしたが、400Kでは帰還せず。その翌年には伊賀シリーズが北コースに変更。それに伴い、帰還コースとなる北陸地域の飛び筋を導入し、レースでは300K400Kと帰還しましたが、念願の最終レースへの挑戦は叶いませんでした。

「最終レースの壁を破りたい!」との強い思いから、鳩飼育の勉強も兼ねて伊賀鳩舎でお手伝いをするなど努力を重ねた渋谷さんですが、以降は鳴かず飛ばず。「もう鳩レースを諦めようか」とも思ったそうですが、不屈の闘志でチャレンジ。その執念が実ったのは、昨年のレースでした。

「これが最後のチャンスと決めて、6羽を委託しました。秋のオータムカップで4羽が帰還したんですよ。すると、春の200K5位に入賞!今年はいけるかもと期待していたんですが、まさかベストテン内に入るとは…。本当に嬉しかった。貰った賞状を家族や友人たちに見せびらかしたほど(笑)」。

しかし、このシリーズでも最終レースには到達できず。今年のシリーズでは300Kは帰還しましたが、400Kで失踪。いまだ「自分の殻」を破ることはできていません。「最終レースを乗り越えることが、今の目標」と語る渋谷さんに、鳩レースの魅力を伺うと…。

「私は飛んでいる鳩を見るのが好き。たくさんの鳩が青空を大きく旋回しながら飛んでいる姿を見ると、爽快な気分になります。自宅で多くの鳩を飼える時代ではないですが、国際鳩舎のようなシステムがあれば、たくさんの鳩が飛んでいる様子も見ることができます。まだまだ鳩飼育を勉強中の身ですが、これからも委託レースを楽しみたいですね」。

「体力が続く限り、鳩を飼い続けたい」という渋谷さん。これからも、健康に留意しながら鳩レースを満喫してくださいね。

自宅は住宅地にあるため、電線などがあり、舎外をできる環境にあらず。

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