連載2-19、交配について その七

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このコーナーは、会員の方からの寄稿や過去に掲載された本誌の記事を元に、伝書鳩及び鳩レースの今昔を鳩仙人の語り口で掲載します。本稿は本誌で連載された「レース鳩作出余話」(83年〜87年連載)を引用・改編しています。

異血交配がチャンピオン鳩を作出する手段として非常に有効な方法であることに異論はないが、全ての異血交配で雑種強勢という好ましい現象が期待できるかといえば、そのようにうまくいくものではないぞ。時には、逆に雑種弱勢というマイナス現象を引き起こすこともあるのじゃ。

ニワトリなどの場合、意図的に選び作られた種鶏の交配によって、一群のヒナの強健性・発育成長の斉一性を図るため、血統の選抜固定が図られ実用化されているが、レース鳩のように個体を対象とした作出の場合、この取り組みは難しいといわざるをえないじゃろう。レース鳩で新しい異血を導入した場合、その種鳩の良否によって、元となる系統は非常に大きな影響を受けることとなるので、その選択と検討は慎重に行うべきじゃ。ここを重視することが、その後の鳩舎の飛翔成績に大きく関わってくるからのう。それだけに種鳩の導入には最大の関心を持ち、常に国内各地域で好成績を残している鳩舎、さらに世界へ目を向けて各国の優秀鳩や優秀鳩舎へも目を向けて、自鳩舎の異血としてあらゆる方面から検討する必要があるじゃろう。

「そんなことはいつも考えている」といわれるかもしれぬが、果たして何人のレースマンが、各レース成績、優入賞鳩の血統、それらの基礎系統を真剣に吟味しておるじゃろうか。わしは常に思うのじゃが、なるほど何百何千の鳩を飼育できるような余裕のある愛鳩家なら、良いと思う優秀鳩舎の作出鳩を片っ端から導入すればよいじゃろう。じゃが、通常の愛鳩家の管理能力や経済力を考えれば、新しい種鳩導入には限界がある。何を基準に導入に踏み切るか。この選択こそが、自鳩舎の将来の成功を左右する最初の関門でもあるのじゃ。

日本人には明治維新以来、文明開化の時代の流れの中で、欧州や米国の物に対する「舶来上等」的な意識が潜在的に存在しておる。ベルギーやオランダなどの優秀な血統の鳩を導入すると、どれほど素晴らしい成績を上げられるものかと、期待も大きいのう。今日までの間、実におびただしい数のレース鳩が海外から輸入され、種鳩として繁殖に供されておる。しかしながら、その輸入鳩によって作出された仔・孫達の成績は、愛鳩家の期待を裏切るものも実に多い。これは我が国の複雑な地形や若鳩を長距離に使う部分にも原因があろう。

この辺りの考え方は、実に大切じゃ。機会があれば一度、欧州の帰還コースを汽車で走ってみれば良いのう。そうすれば、我が国と以下に地形が違うかが理解できるじゃろう。それ以外にも、雨の降り方も違う。ゆえに、あらゆる面から海外の優秀鳩、優秀鳩舎の成績を検討し、自鳩舎の異血として導入できるかどうかを常に頭において研究することをお勧めしたいのじゃ。

これは、戦前にシオン系、グルネー系、E・ラング・ミラー系、戦後はスタッサル系、ジュール・ヤンセン系、ブリクー系。英国からはフュール・アイザクソン系、ノーマン・サウスウェル系、ビクター・ロビンソン系、ウエリントン系、W・スチール系、アルタ・ベーカー系など。ベルギーからはデルバール系、カトリス系、ベルレンヂ系、モナン系、ドマレー系、ファンブリアーナ系、デニス系、ローセンス系、ボスチン系、ケンペニール系、ファンスピタール系、インブレックス系等。オランダからはクルート系、ウェルデン系、フェルフオーベン系等。米国からもモーリス・ゴードン系、マッコイ系、ヘラー系等。これらの系統を導入し、テストした結果のわしからの提言じゃ。現在では、新しい系統も増えており、遺伝子の研究も進んでいることから、交配の方法も大きく様変わりしておろうが、年寄りの戯言と思わず、頭に入れておいてほしいのう。

では次回も、交配について考えてゆくことにするかのう…。

(この稿、続く)

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