連載2-47、世界の鳩界事情 その二十

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このコーナーは、会員の方からの寄稿や過去に掲載された本誌の記事を元に、伝書鳩及び鳩レースの今昔を鳩仙人の語り口で掲載します。本稿は本誌で連載された「レース鳩作出余話」(83年〜87年連載)を引用・改編しています。

●アメリカ鳩界への期待
さて、わしらがアメリカ鳩界を論じる場合、アメリカの優秀な長距離鳩の基礎はイギリス系の鳩のため、悪天候の克服性を身に付けておることを忘れてはならない。
さらに第一次世界大戦後よりヨーロッパのスピード鳩の導入とその交配によって、ややもすればスピード性で引け目をとっていた性能の向上が強力に推し進められてきたことを高く評価すべきじゃろう。
現にマッコイ鳩舎でもわしが訪れた1967年当時はオペル系に終始していたが、その後はベルギーの第一線級のスピード系が導入され、素晴らしい進展がうかがえたものじゃ。
アメリカ鳩界のもう一つの特性としては、愛鳩家によっては非常に強い近親交配の繰り返しで純系の品種の作出を試みる人がおられる。先のオペル氏もそうであった。
動物の育種という問題に対して、アメリカは大きい実績を挙げつつある国柄じゃ。この面からしても優れた性能を持つ系統の今後の出現が期待される国であろう。その国土と同様に広く大規模に実行される面で、日本に住んでおるわしらでは成しえないと考えたことでも実現させる潜在能力を感じさせる国じゃ。
こういったことから、今後のアメリカ鳩界の情報には十分に注意が払われる必要があると思うがのう。
わしらが今後、自分自身の系統の造成を目標として作出を続ける場合、常に考えておかなければならないことは世界トップの系統は果たしてどこにあるかということじゃ。またそれが自身の目標に対する前進に役立つかどうか判断せねばならず、最後にはその役立つものを入手するための努力、手段の実行というところじゃろう。
アメリカのレース鳩に着目し、日本へ紹介および導入をした我が国の愛鳩家は、先に紹介した岩田氏の他にも、幾人かおられる。その方々の足跡にはそれぞれ相違点もあるが、我が国の鳩レース界に与えられた優れた功績を忘れることはできぬのう。
では次回、当時の西ドイツ鳩界について語るとするかのう…。
(この項続く)

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