高校生が「救援鳩」を育てる研究

「救援鳩」を育てる研究をしている中嶌さん
このコーナーでは、レース鳩や当協会に関する、会員の皆様から寄せられた事柄やマスメディアで紹介された事柄など、様々な情報をご提供します。

昨秋、NHK総合テレビジョンのニュース「シブ5時」(平日:夕方放送)と自然社会との関わりから生まれる豊かなライフスタイルを提案する雑誌「ソトコト」(発行元:木楽舎)というメディアで、「救援鳩」を育てる研究をしている高校2年生の中嶌 健さんが紹介されていました。
研究テーマは「レース鳩を再び伝書鳩に!~災害多発の今だからこそ~」。内容は「先日の西日本豪雨や東日本大地震など、一瞬のうちにライフラインが絶たれ、長期化する場面を目にする。電話やインターネットは、電気なくしては全く利用することができないため、非常通信手段として電気に依存しないものが必要とされる。かつては新聞社の屋上に鳩小屋があったと聞く。現場に駆け付け、どこよりも早く事実を伝える手段として、伝書鳩が使われたからである。今は通信手段としての鳩は姿を消したが、「レース鳩」として趣味の世界で生き残っている。しかしレース鳩の帰還率は減少しており、安定な通信手段になるとは言いがたい。そこでレース鳩帰還率の減少の原因を探り、鳩を通信手段として復活させることを目標とする」とのこと。すなわち、レース鳩の帰巣本能とその能力を大きな災害で孤立した被災地の現場情報を伝える救援手段として使用するための研究ですね。
中嶌さんはお父さんが、山梨連盟・山梨第二連合会の会員さんで、鳩の飼育管理を手伝うなど、幼い頃からレース鳩が身近な存在でした。中学生当時、熊本地震の被災地の状況をテレビニュースで見て、「鳩を被災現場に運び、被災状況を撮影した画像や必要な物資のデータをメディアや支援拠点に伝えれば、被災者の力になれるのではないか」と考えたそうです。
ただ、一番の問題は昨今のレースマンの悩みの種でもある帰還率。そこで、帰還率の向上のため、鳩に装着できるGPSで帰還コースを調査したり、悪天候に強い、いわゆる粘りのある血統を交配するなどして研究を続けられているそうです。
この研究は、総務省が主催する奇想天外な技術課題への挑戦を支援する「異能(inno)
vation」プログラムの公募において、「破壊的な挑戦部門」で最年少ながら最終選考11人にも通過されています。
詳しい研究内容などについては、改めてご紹介したいと思いますが、若い愛鳩家のこれからの活躍に期待したいですね。

鳩舎で鳩の世話をする中嶌さん
同研究は、「異能(inno)vation」(総務省主催)の選考にも通過

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