連載2-24、交配について その十二
カトリス鳩舎、カトリス系については、いまさら述べるまでもなく世界的な銘系であり、世界中のたくさんの鳩舎に、その血統の流れが行き渡っている最もポピュラーな系統の一つといえることができよう。
カトリス鳩舎といえば、彼の兄弟であるオスカーとジェラールが作出し、カトリス系の基礎を築いた銘鳩「カトリス45号」(B45-886045 B ♂)を取り上げねばならぬ。
「カトリス45号」の翔歴は、47年オルレアン617羽中13位、ツール422羽中11位、コニアック4,055羽中21位、アンゴーレム539羽中6位、ボルドー408羽中優勝、48年ドールダン338羽中2位、オルレアン1,007羽中7位・同1,120羽中11位、アンゴーレム4,232羽中3位・同743羽中4位・同2,437羽中207位、49年オルレアン634羽中34位、アンゴーレム4,529羽中229位、リボンヌ2,431羽中17位、アンゴーレム689羽中37位、・同314羽中優勝、50年オルレアン949羽中27位、オルレアン576羽中53位、アンゴーレム3,800羽中11位、リボンヌ2,030羽中330位と多岐に渡り、この他にも300キロ未満のレースで12回の入賞を記録している。
この鳩の血統構成であるが、父は「ペテー号」(43年生)、母は「メテー号」(42年生)。「ペテー号」の父は「ショーネ・ブラウエン39号」で、同鳩舎の古い基礎鳩「グローテ・ブラウエン26号」(ウェッヂ・ファンデベルデ系)×コミヌ系の直仔じゃ。「ペテー号」の母は「グローテ・ブラウエン26号」×ピエル・デクノップ氏作ダックス優勝の娘「クイークドイピン23号」で出来た「ルイス30号」にアルベール・デフォルク氏からの種鳩を交配して作られている。
母「メテー号」の父は、「ゴーデ・ボルケ36号」で、この鳩は「ゲブロッケン・プート32号」×レオポルド・ラモーテ氏作の種鳩となっておる。「ゲブロッケン・プート32号」は「ルイス30号」の全兄弟で、ベルギー&オランダ連合のボルドーからの2羽一組平均競翔(ツーバードアベレージ)の優勝鳩となり、さらにはアンゴーレムからのベルギー&フランスのINレース優勝鳩という素晴らしいCH鳩なのじゃ。また、「メテー号」の母は、「ショーネ・ブラウエン39号」と全兄弟「ウイッツラグ39号」にアルベール・デフォルク氏からの種鳩を交配して作られている。
以上の中から近親交配を拾うと、まず「ペテー号」に父方祖父の「グローテ・ブラウエン26号」(ウェッヂ・フェンデベルデ系)が4回出てきておる。同時に「グローテ・ブラウエン26号」の配合鳩として、「クイークドイピン23号」とコミヌ系の雌が「ペテー号」、「メテー号」の各1回現れておるのじゃ。とにかく、「カトリス45号」という銘鳩は「よくもこれほどの近親交配を」と驚くほかない。
血統構成の説明が少し判り辛いと思うが、昔のベルギーやオランダの飛ばし屋達は、血統を大切に考えていても血統書の作成には無関心であり、誠にいい加減なものが多かったため、このような形の記載で我慢していただきたいものじゃ。
では次回は、ステッケルボード系について語るとするかのう。
(この稿、続く)