神経症の治療に鳩飼育
東京都狛江市にある「東京慈恵会医科大学・森田療法センター」。同センターは神経症(不安障害)や慢性化したうつ病といった病気に罹った患者さんに、独自の精神療法である森田療法を行う専門施設です。元々、1972年から「森田療法室」として運営されており、2007年に現在の施設が完成しました。
森田療法とは患者の持つ自然回復力を引き出す治療法で、その一環として動物治療というプログラムがあり、レース鳩飼育も利用されています。当初は犬、うさぎ、鯉などが飼育されており、レース鳩を治療に利用し始めたのは、約30年前から。当時、同センターに勤務されていた医師が、レース鳩に興味を持っていたことがきっかけだそうです。その後、飼育鳩の減少などで活動が行き詰ったことから、当協会に問い合わせがありました。その後、東京西連盟の山本雅嗣さん(西武蔵連合会)の協力もあり、現在まで飼育が続いています。
この治療法については、09年の本誌でも紹介しましたが、近年では同センターのブログで患者の皆さんが飼育しているレース鳩の詳細を見ることができるようになっています。例えば、2月には「鳩の水浴びをしました!かわいいです!」、3月には「鳩が卵を産みました!」などのタイトルで、不定期に写真と記事が掲載されています。では以下に近々のブログ記事を一つ、ご紹介します。
―鳩の馴致継続中!(2020年7月5日)―
雨の日が多くなり、ジメジメとした日が続いていますが、皆様お元気でしょうか?
さて、今日は鳩の馴致の進行状況についてお伝えいたします\(^o^)/
現在、ジュンとしのぶは放鳩訓練(小屋から離れたところから飛ばす訓練)をしています。そして、キキとララ、しのぶはトラップ前からの訓練(短い距離から小屋に入る訓練)をしています。これから5羽とも飛ぶ距離を伸ばしていく予定です(^-^。
この日は、しのぶがなかなか小屋に入らず、時間が掛かってしまいましたが、鳩のことを考えると鳩が自分から小屋に入っていくことが、小屋を覚えさせるために大切なんですね。このとき、人間の私たちに必要なのが「待つ!」ということです(‘◇’)ゞ
しのぶがなかなか小屋に入らず、「早く小屋に入ってよー」なんて、気が短くなりがちですが鳩を信じて待つ事が必要なんです(^-^)
日常でも意外と「待つ事」って難しい時がありますよね。すぐに結果を出したいし、見ていてもどかしいと「自分でやった方が早い!」なんて、気分をすっきりさせたいと思うと、人や物事の変化を待てないものです。森田療法でも不安をすぐに解消しようとしないで、気分が変化するのを待ってみることをお勧めしています(^-^)
しのぶが小屋になかなか入らないのには、しのぶなりの理由があるのかも?と色々考えながら待っていると、ちゃんと自分から小屋に入ってくれました(^-^)
遊びたかっただけなのかもしれませんね。
馴致も順調に進んでいる(ことを信じて)ので、ジュン、しのぶ、キキ、ララ、トメ子と一緒に頑張ります!\(^o^)/
同センターでは、各鳩に名前を付け、患者さん自らが計画を立てて上記の馴致の他、給餌、作出、舎外、訓練といった飼育管理を実践しており、治療に効果を発揮しているようです。これからも病気の回復はもちろん、社会復帰されてからも鳩飼育を続けて下さるとよいですね。
【森田療法センターブログ】
https://morita-jikei.jp/information/centerinfo/