神経症の治療に鳩飼育

7月15日の「森田療法センターブログ」より
このコーナーでは、レース鳩や当協会に関する、会員の皆様から寄せられた事柄やマスメディアで紹介された事柄など、様々な情報をご提供します。

東京都狛江市にある「東京慈恵会医科大学・森田療法センター」。同センターは神経症(不安障害)や慢性化したうつ病といった病気に罹った患者さんに、独自の精神療法である森田療法を行う専門施設です。元々、1972年から「森田療法室」として運営されており、2007年に現在の施設が完成しました。

森田療法とは患者の持つ自然回復力を引き出す治療法で、その一環として動物治療というプログラムがあり、レース鳩飼育も利用されています。当初は犬、うさぎ、鯉などが飼育されており、レース鳩を治療に利用し始めたのは、約30年前から。当時、同センターに勤務されていた医師が、レース鳩に興味を持っていたことがきっかけだそうです。その後、飼育鳩の減少などで活動が行き詰ったことから、当協会に問い合わせがありました。その後、東京西連盟の山本雅嗣さん(西武蔵連合会)の協力もあり、現在まで飼育が続いています。

この治療法については、09年の本誌でも紹介しましたが、近年では同センターのブログで患者の皆さんが飼育しているレース鳩の詳細を見ることができるようになっています。例えば、2月には「鳩の水浴びをしました!かわいいです!」、3月には「鳩が卵を産みました!」などのタイトルで、不定期に写真と記事が掲載されています。では以下に近々のブログ記事を一つ、ご紹介します。

―鳩の馴致継続中!(2020年7月5日)―
雨の日が多くなり、ジメジメとした日が続いていますが、皆様お元気でしょうか?
さて、今日は鳩の馴致の進行状況についてお伝えいたします\(^o^)/

現在、ジュンとしのぶは放鳩訓練(小屋から離れたところから飛ばす訓練)をしています。そして、キキとララ、しのぶはトラップ前からの訓練(短い距離から小屋に入る訓練)をしています。これから5羽とも飛ぶ距離を伸ばしていく予定です(^-^。

この日は、しのぶがなかなか小屋に入らず、時間が掛かってしまいましたが、鳩のことを考えると鳩が自分から小屋に入っていくことが、小屋を覚えさせるために大切なんですね。このとき、人間の私たちに必要なのが「待つ!」ということです(‘◇’)ゞ

しのぶがなかなか小屋に入らず、「早く小屋に入ってよー」なんて、気が短くなりがちですが鳩を信じて待つ事が必要なんです(^-^)

日常でも意外と「待つ事」って難しい時がありますよね。すぐに結果を出したいし、見ていてもどかしいと「自分でやった方が早い!」なんて、気分をすっきりさせたいと思うと、人や物事の変化を待てないものです。森田療法でも不安をすぐに解消しようとしないで、気分が変化するのを待ってみることをお勧めしています(^-^)
しのぶが小屋になかなか入らないのには、しのぶなりの理由があるのかも?と色々考えながら待っていると、ちゃんと自分から小屋に入ってくれました(^-^)

遊びたかっただけなのかもしれませんね。
馴致も順調に進んでいる(ことを信じて)ので、ジュン、しのぶ、キキ、ララ、トメ子と一緒に頑張ります!\(^o^)/

同センターでは、各鳩に名前を付け、患者さん自らが計画を立てて上記の馴致の他、給餌、作出、舎外、訓練といった飼育管理を実践しており、治療に効果を発揮しているようです。これからも病気の回復はもちろん、社会復帰されてからも鳩飼育を続けて下さるとよいですね。

 

【森田療法センターブログ】

https://morita-jikei.jp/information/centerinfo/

各鳩に名前を付けています。

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